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すべて雨のせいにして

雨の日はやはり、少しだけ落ち込む。もう戻らない時間のことを思ったり、する必要のない後悔をしようとしてみたり...。

大人になって生きやすい自分になったと思った。でも同時に、自分を苦しめることも上手くなってしまった。自分に罰を与えたり、これは仕方のないことなのだと受け入れたり。嫌なものを嫌だと言えるのは子供の頃までだった。

花がほしい。毎日花屋の前を通るたびにそう思う。もしくは道に咲く紫陽花を見るたびに。視覚で癒されるものを私は求めている。息をするもののの強さを、感じながら私は生きてゆきたい。

なのに、なかなか花を手に取れずにいる。

昼間、土砂降りの雨が降った。笑いながら屋根の下へ駆け込む私たち。激しい雨はささやかな憂鬱をかき消していくように、すべてを忘れさせてどこかへ行ってしまった。

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