真昼の夢はメランコリー

昼寝して目覚める夕方はちょっぴり苦手だ。妙に濃い夢を見たり、起きた時に窓の外が暗くなっていたりすると、何故だかつい孤独を感じてしまう。現実の、本来あるべき感情を戻すためにほんの数分だが時間がかかってしまうのだ。昨日もまさにその状態で、昼寝する前もとても疲れていたのが起きたら更に「大丈夫」じゃなくなっていた。これから買い物に行くことも、ごはんを作ることも、部屋の片付けをすることも、明日のために生きることもぜんぶぜんぶ大丈夫じゃなくなっていた。

子猫がずっと鳴いているのでお風呂場のドアを開けて開放してあげた。こうするとすぐに鳴き止んで部屋の中を自由に探検しはじめる。

台所に中途半端に置き去りにされた大根があった。昼ごはんのサラダに使った残りだ。切ってしまっておこうと思い、とても重い気持ちのまま包丁を手に取る。その時、子猫がトントンと私の脚に手を当てた。登りたがっているのか、小さな腕を伸ばしながら。

どんな感情が浮かぶよりも先に涙が溢れた。私は”生きる”ことを再びはじめる。泣きながら大根を切り、無事冷蔵庫にしまった。

「大丈夫」だ。実際はいや、それでもまだ大丈夫ではないというのが本音だけれど、明日を生きるためのエネルギーくらいは取り戻せたかな。私は早く、「大丈夫」になりたい。

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