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未来をもっと先まで

昨日の夜、"山"から帰ろうとバス停まで歩いていたら、どこからか猫の甲高い声が聞こえてきた。はぐれた子猫だろうかと思い、辺りを見回す。すると道路の向こうにちいさな姿が...よちよちと歩き、何かを探し求めているようだった。近くまで行ってみると人の気配を感じたのか鳴き声が止む。絶対近くにいるはずだと捜索したら、僅か5㎝ほどのコンクリートと地面の隙間でじっとしているのを見つけた。

外の世界で生きる猫の寿命は短い。事故や病気、他の動物に襲われるなどの危険が常にあり、1,2年ほどで生涯を終えてしまう猫も少なくない。このままこの子を置いていったら駄目だと直感的にも思った。コンクリートの下から引き出して、リュックのなかに入れる。開けっ放しのリュックで不安そうに鳴く子猫を、私は家に着くまでの間ただ撫でていた。生きるんだぞ、と呼びかけながら。

夜なので動物病院がどこも閉まっており、とりあえず隔離された段ボールのなかで一晩過ごして貰う。うちに既にいる猫が気配を察知し、唸ったりいつもと違う鳴き方をしたりする。子猫がいる所には来させないようにして、おやつで気を逸らす。自分もまだ子猫のつもりの大きな猫だからなぁ。構ってもらえないと寂しいみたいだ。

今朝、動物病院へ行ってきた。獣医師さんに診てもらったところ、見た感じは異常はなく健康に育つだろうとのこと。診察台の上でご飯をあげたら元気に食べてくれたのを見て、緊張が一気に安心に変わった気がした。生後1ヶ月程度の女の子だそうだ。未来のある、尊い命だ。

猫は長ければ20年ほど生きることができる。強く、長生きしてほしいんだ。だから名前のない子猫よ、共にがんばろう。

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