生物学的、人類学的コミュニティ考察2
人間が群れ(コミュニティ)を作るようになって、役割が分化していく。やがて狩猟から農耕が生まれる。農耕は、狩猟よりも、一時期に一斉の人手がかかる。共同作業が生まれる。日本の伝統芸能の「田楽」はその字のごとく、辛い田植えや稲刈りの集合作業時にその田で楽しむために始まった歌と踊りである。みんなで掛け声をかけて全員でそれをやった方がいいのに、そこに歌って踊るだけの専門の役割を置く。どちらが合理的か?考えると、その人も歌や踊りを専門にするのではなく、作業を手伝った方が良いはずだ。しかし、それでもそれが永い年月をかけて芸能になるまで生き残ったという事は、この農作業のコミュニティのなかで、この音楽や踊りが、かなり重要な役割をはたしていたと考えられる。つまり単なる目の前の合理的な生産性ではなくコミュニティ全体の士気やモチベーションを作るために果たした役割の方が大きかったと考えるべき。というわけで、農耕を始めたことにより、よりコミュニティで作業することが増えた。
昔からあるアリの2:8問題。アリは2:8の割合で働くアリと働かないアリに分かれている。この2割を間引いても8割の中から新たな2割が働き始めるという。この問題が少し、進化していた。働かない8割は実は休んでいるだけで、働いている時もあり、常に全体の2割が一生懸命働いているというのが本当のところであった。つまり働くアリと働かないアリがいるのではなく働かない時間と働く時間の割合が決まっていると考えた方が良かったという事らしい。しかし、この働いていない8割のアリをずっと観察していると、じつはこの8割の中に全く働く時間を持たないアリがいたらしい。で、そのアリは餌を運ばず、ずっとフラフラしているのだが、このアリたちを除外すると、なんと群れが崩壊したという報告。このアリには重要な役割があって、コミュニティでのコミュニケーションというか指揮系統をつかさどっていたと考えられている。そう。コミュニティでの生産性には先ほどの田楽ではないが円滑にするための仕組みが必要なのでは?と。
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