育児の現場で父親が透明化する現象について

おととい、こういうツイートをしたら大変な反響を頂きましたでござる

この件で急にabemaprimeに「出てくれ!」って言われていそいそと出て行ったら柏木由紀さんが「私のタイムラインにも出てきました~!」って言ってて「Twitterすげえ!」ってなりました。まあそれはどうでも良いんですけど。

〇透明化する父親

一応背景的なものを言っておくと、育児教室とか予防接種とかいわゆる「育児の現場」では何かにつれて「ママは~」「ママが~」ってなりがちで、「普段のお子さんの様子は~」みたいな事を聞かれるのもだいたい母親なので、夫婦で参加しても父親は添え物的な存在で透明化してしまいがちなのだ。

また、区報的なものを見ると「この日に育児教室やるよ~!」って書いてあるので「よーし行くか~」みたいなテンションで良く見ると「お母さん向け」とか書いてあったりしてちょっと拍子抜けする。まあ母乳の話とかもあって男がそこに居ると気まずい、とかもあるだろうし、全部が全部そうじゃない、って事は言っておくけど。

出産前に参加した育児教室。「妊婦さんはこれぐらい重いんだよ~」みたいなのを体験中の僕。

写真の通り父親も参加できるものの方が全然多いし、透明化せずに済んでるものもたくさんあるのだけど、それでも「アレッ?」って思うことはチラホラある。

例えばこれは厚生労働省が出している「健やか親子21アンケート」で、自宅に届いたものをスキャンしたやつなのだけど、見ての通りどこを見ても「母親」「お母様」のオンパレードで記入するのもやっぱり母親なのだ。ちなみに父親宛にこういったアンケートは届かない。

この中の設問にある「小児救急電話相談を知っていますか」「激しく揺さぶることによって脳障害が起きることを知っていますか」なんてな設問は、仮に母親主体で育児をしていたとしても父親だって知っておいた方が良いものなのに、なんでこのアンケートの対象が母親だけになるのかがよくわからない。

もちろんアンケート自体は大変良いものだと思う。裏面は育児で大変な母親に寄り添うような内容になっているし、アンケートに「辛そうだな」と受け取れるような回答を出すと行政から何かしらの支援があるのかもしれない。行政のサポートは意外と手厚く、奥さんも妊娠、出産を経験する過程で「色々と面倒見てくれるんだね~」って言ってたし。

なので頭ごなしに否定するつもりはないのだけど、父親にもこういうのは書かせた方が良いのではないかと思うのである。まあ父親の育児参加についてはまだまだ過渡期だし、ツイートにも書いた通り僕は別に気にしないけど、行く先々で「育児は母親メイン」「お父さんは添え物」的な扱いをされると「俺、居る意味ないじゃん」って思う人が居てもぜんぜんおかしく無いと思う。

そして、こういった事例が父親の存在を透明化させるのと同時に、「育児は母親がやるべきもの」という抑圧を産む側面もあるんやぞ、っていうのは言っておきたい。「母親が育児苦手なので、ウチは父親主体で育児をすすめてます!」みたいな家庭があったって良いのだ。

〇男性の育児についての風当たりの強さ

そしてもうひとつ。父親が育児についての考えや愚痴をSNSで吐き出すとけっこうな勢いで叩かれたりバカにされたりするのである。育児について発信してる父親の人には「わかるわー」って言って貰えるんじゃないかと思います。「イクメン気取ってモテたいんでしょ?」とか「ちょっとやっただけでやってますヅラすんな」とかさあ。

「わかりやすいやつだ」と思ったのでりゅうちぇるさんには申し訳ないなと思いつつ例として挙げさせて頂きますが、僕から見るとこのお父さんの「頑張ってるのに感謝されなくて辛い」というある種の愚痴はしごく真っ当なものに見えるのだけど、それに対して「感謝されたいって甘えすぎじゃない?」というセリフはあまりにも突き放しすぎてるんじゃないかと思うのであります。

一方で「感謝されたいなら自分から感謝しろ」という事もおっしゃってますが、本当に言いたい事がそれであったとしてもここまで突き放す必要があるのか、って思うのです。僕は自営業で自分のペースで仕事が出来るし、まだ子どもがひとりなので融通が利きますけど、平日フルタイムで働く会社員が仕事しながらこのペースで子ども3人の育児やるのはかなりしんどいのは間違いないと思いますよ。「頑張ってますね!でも自分からもガンガン感謝の言葉を口に出そう!」くらいのテンションでも良かったんじゃないかと思います。お父さんもお母さんも大変だね、で良いじゃん。

仮に男女ひっくり返して「専業主婦だからって育児はやって当たり前の顔をされる。もっと感謝されたい」と母親が言った時に「感謝されたいって甘えじゃない?育児はやって当然でしょ」みたいな言説が大手メディアに堂々と載る世の中ではとっくになくなっているので。

〇「育児へのハードルを下げる」のと「育児参加が増える」のは両輪

ツラツラと書いてしまった。
他にも「オムツ台が女性トイレにしかない」とか「娘と公園で遊んでたら通報された」とか、「パパ教室の数が少ない」とか、そういう問題はまだまだたくさんあるのだけど、そういうのって結局父親の育児参加がまだまだ少ない事の裏返しだし、コストの問題もあるので「今すぐ改善しろ!」と言うつもりは無いのだけど(もちろん改善されたら嬉しいけど)、少なくとも育児教室や小児科での「ママ、ママ」っていう呼びかけを変えるぐらいの事は看護婦が看護師になったようにノーコストでやれるわけだし、呼称を変える事で現場の意識が変わり、その意識の変化が諸々の事象に波及していくんじゃないかしら。

育児へのハードルが下がる事で育児参加する父親が増え、育児参加する父親が増えることで更に育児へのハードルが下がる、みたいな連鎖反応で少しづつやりやすくなっていくのかなぁと思っております。

……と、まあこういう事を書くと「たかだか育児に参加するだけでここまでお膳立てされなきゃ出来ないのか!これだから男は!」みたいな事を言う人も一定数居るんだけど、お膳立てする事でやる人が出てきて、それで全体が幸せになるのであればそれでいいじゃん、って感じです。

現場からは以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?