蒸気活劇RPGスチームパンカーズ/ロンドンの一番長い日

英国陸軍第三歩兵師団第十二機械化旅団蒸気機甲科連隊教導隊、通称「ウィンザー兵学校」
今年も、陸軍士官学校の前期課程を修了し、アーマードリムのパイロットを目指す士官候補生が入学してきました。
日本皇国から赴任してきた新任教官、オオハタ中佐の厳しい指導の下、若き士官候補生は訓練に励み、そして事件は起こります。若き士官候補生の、いや、ロンドンの運命や如何に。
そんな感じで始まった、蒸気活劇RPGスチームパンカーズ「ロンドンの一番長い日」遊んでもらってきました。味方も敵もアーマードリムだらけのスチームギア固定シナリオだよ。

そんなウィンザー兵学校で、厳しい訓練を通じて友情を育んでくれたのは。

八ツ島要(ありろさん)
日本皇国からの交換留学生。
貧困層の生まれで、幼少のころから路地裏にうち捨てられた廃蒸気機械を拾っては修理し糊口を凌ぐ毎日でした。しかし皇国ではそれは違法行為で、官憲に検挙された彼は、宮沢賢治率いる秋葉原蒸気力科学研究所に保護されます。
蒸気技術、特にアーマードリムに魅せられた要は寝食を忘れ研究に打ち込み、ついに英国行きの切符を手に入れるのでした。
英国陸軍士官学校に、交換留学生として送り込まれた彼は、本場英国の蒸気技術を学び皇国に持ち帰る任を帯びていたのですが……アーマードリム乗りに志願し認められてしまいました。え?きみ技術将校だよね?自分で乗って前線に出るの?
常にフラットな語り口で、思ったことをズバリと口に出す。しかしその内容は相手への理解に満ちていて、いわれた方が照れてしまうほど。

データ的にはハイファインドの特長を活かした、小隊のダメージソースとして活躍してくれました。
事件後数年して、一度は帰国した日本から、再度研究者として渡英した彼は、かつてのエインズワース小隊の仲間と今度はどんな冒険に踏み出すのでしょうか。

ヒューゴー・ソーウェル(偽名、すださん)
スラムで生まれ育った彼は、そもそも名前を持っていません。街角に捨てられた篭にもしかしたら名前を示すメモが添えられていたのかもしれません。でも、彼はその名を名乗ることはせず、あるとき、駅ですれ違った、幸せそうな子供、両親と手を繋ぎ、屈託なく笑う子供がたまたま呼びかけられた、その名前をちゃっかり頂戴しました。
そして数年。相変わらずスラムで暮らす彼は、ついに官憲の手にかかります。少年の将来を気にかけた警官は、田舎の農場で働きながら更正する、そんな落とし所を提示します。一度はそれを受け入れた彼ですが、いざ、汽車に乗らんとする彼に、運命の女神は盛大ないたずらを仕掛けるのでした。
こうして新たな名を得て、軍人の道を歩むことになった「ヒューゴー・ソーウェル」は、ウィンザー兵学校で学友に出会います。本音を隠し、距離を取り、韜晦を重ねるヒューゴーは、事件を通じて、要とルーサーとの交流を通じて、何を想い、何を得たのでしょうか。
幼いころからスラムで育ったのです。元来、口は達者ですし、世渡りは上手です。なんの後ろ盾もなく、地獄、で生き抜いててきたのです。利発でないわけがありません。
明るくポジティブな熱血漢。口癖は「そうか、反省しよう」
生来のインスピレーションで、降りかかるトラブルをことごとく予見し、上手に回避してきた彼が、最後にして最大のトラブルに正面から立ち向かう姿はとても魅力的でした。

ルーザー・エインズワース(遥唯祈さん)
軍人を多く輩出した名門の生まれです。上の世代の男子はみな、蒸気大戦に出征し、家に残った男子は自分だけ。有り体にいえば没落寸前の貴族の息子、というわけで、お家再興のためにはなりふり構っていられない。そんな立場です。
英国は、いや欧州は、蒸気大戦の終結に沸き立ち、平和と厭戦ムードに溢れていますが、エインズワースは違います。
「大戦が終わった今は、戦間期であるに過ぎない。いずれ必ず、次の戦争が勃発する。そのときに国を守れるのはエインズワースの男子にほかならない」
力はあっても規律に欠けるヒューゴーと、同じく力はあっても覇気に欠ける要。なぜか二人と小隊を組み、小隊長として隊をリードすることになったルーサー。ですが、彼は思います。
「自分はヒューゴーの閃きや要の技術力を凌駕する何ものも持ち合わせてはいないのではないか」
マジメで実直で、人を妬まず、向上心や克己の心を隠さず、仲間と見定めた者への支援を惜しまない。光の小隊長、でした。

第0回のキャラ作会から、3人の設定や関係性がもりもりと積み上がり、大変に濃密なセッションになりました。シナリオはね、いつものトンチキスチームパンカーズだったんですよ。それがシーンを重ねる毎に、どんどん深みを増し、細かな情景が立ち上がり、解像度が上がっていく。
大変な、貴重な、とても楽しいGM体験でした。いやほんとに楽しかった。
オオハタ中佐やドナルド大佐へのPCの関わりもこれまた素晴らしくて、ほんと、GM冥利に尽きるというものでした。

事件後、時を経て、順当に出世するルーサー、一旦日本に帰り、また渡英する要、刑期が明けて二人と再会する、もう一人のルーサー。
3人の未来は順風満帆ではないかもしれないけれど、それでもこの3人が揃っていれば、きっとなんとかなる。そんな未来を予感させるエンディングとなりました。

みなさんありがとうございました。次回は、マグナイトの熱が消え失せたロンドンの街でお目にかかりましょう。

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