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ザ・ループTRPG/明日への帰還

 新年卓初めは拙卓ザ・ループTRPG「明日への帰還」でした。
 ストックホルム郊外、ステンハムラからさらに北にいったところにある小さな村、ファーレンチューナ。目立った産業もなく、住人は農家だったり、近隣の街に通勤したりしています。かつて村外れにあった化学工場はPCたちが生まれる前に倒産し、いまは怪しい廃工場として子供たちの興味の的となるばかりです。
 そんな小村で生まれ育った3人のキッズは、いつもの通り秘密基地で放課後の時間を過ごしておりました。そこに鳴り響く爆発音と地震が如き地響き。慌てて基地を出た3人は、廃工場から建ち上がる巨大な火柱と、燃えさかる村の惨状を目の当たりにするのです。
 年は明けたばかり、真冬の寒空に取り残された3人は、無事に朝を迎えることができるのでしょうか。

 14才のシャルロッタ(ボブキャットさん)は村の農場の一人娘です。機械いじりと乗り物好きな彼女は映画「トップガン」との出会いを機に空軍のパイロットを目指します。お父さんは大反対しますが、もちろん聞く耳などついているはずもありません。農薬散布用のセスナを持ち出そうとした拍子に爆発事故を起こし、納屋は全焼。以来父親は、口も聞いてくれなくなりました。
 唯一の味方は近所で自動車整備工場を営む叔父さんだけ。
 そんなシャルは村の惨状をどう受け止めたでしょうか。

 13才のティモシー(ナカヤマさん)は孤独なロッカーです。やせっぽちで病気がち、内向的な男の子。
 13才の息子がいるにしては年若い両親はラブラブで、親、というより、生活能力に長けた年長のカップルが同居しているよう。冷たいわけではないけれど、あまり関心を持ってはもらえません。そんなティムの拠り所は同居しているおじいちゃん。ですが、去年のクリスマスに最新型のウォークマンを贈ってくれてたあと、風邪をこじらせて他界してしまいます。
 以来一年、生前のままに放置されたおじいちゃんの部屋がティムの隠れ家になります。
 早く大人になって、若いころはバンドマンだった祖父に贈る歌を作りたい。そのためにはギターも、作詞も、早く覚えないと。
 村にも家にも愛着をもたない彼は村にどんな思いを抱いて事件に向かったのでしょうか。

 エコー球に愛された少年、グリ(あめ子さん)。小柄で太っちょな少年はとにかく口が達者です。10才にして大人顔負けの小理屈を矢継ぎ早に捻り出し、同級生も大人も構わずやり込めます。
 なのでクラスではいじめの対象です。生意気だ、扱い辛い、面倒くさい。そう思われていますが、本人はあまり気にしていません。
 なにしろぼくにはエコー球があるから。完全な球体。すべすべした光沢のある表面。そんなエコー球がぼくを愛して、ぼくの元にやってきた。
 きれいな飾り箱にふわふわの綿を敷いて、毎朝バターを塗った一切れのパンをお供えする。
 そんな彼もシャルに出会ってから、少しだけ、ほんの少しだけ、人に合わせるようになったんです。

 こんな3人が、焼けてしまった村を取り戻す気持ちになったのは、それぞれにどんな動機や思いや成長があったのか。
 事件が解決したあとのファーレンチューナの村は、以前と同じ村だったでしょうか。

 それぞれに、ちょっぴり成長したキッズだったのではないでしょうか。

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