羽田空港での日航機と海保航空機衝突事故について

新年早々、地震に航空機事故と、少々気分が滅入ってる人も多いのではないょうか。
自然災害は避けられないが、航空機事故は防ぐ事も出来る。ほぼ4年ぶりとなるnoteに、羽田空港での記事を少し書いてみようと思う。

まずは、このnoteを書くにあたっての動機付けと成ったのが、NHKが公開している管制記録の記事。
この記事の管制記録は、日本語ですが、通常航空管制は「英語」でやり取りされてるいる事に留意して下さい。

この管制記録で注目すべきは、17時45分11秒と17時45分19秒の

海保機:「タワー、JA722A C誘導路上です」
管制官:「JA722A、東京タワーこんばんは。1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください。」

海保機:「滑走路停止位置C5に向かいます。1番目ありがとう。」

ここで、私が疑問に思ったのが、双方が使っている「1番目」ってワードです。
TVに出演していた、機長経験者や航空評論家達は、「同時間帯の離陸許可待ちの航空機の中で、離陸優先順位は1番目と云う意味」と同じ見解を述べてます。

これを踏まえると、管制官の「JA722A、東京タワーこんばんは。1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください。」
と言う管制がキーワードになってきます。
「離陸順位は1番目。つまり『離陸機』としては最優先されてる。が、『着陸機』まで含めて最優先との意味は明示的に含まれていない。」
空港滑走路は、離着陸両方に使われていて、羽田空港は世界で最も過密な空港の1つです。1本の滑走路を、最繁忙期には数分間隔で離着、着陸に共用されてます。
しかもこの海保機のJA722Aは、前日の能登地方地震の被災地に向けて救援物資を輸送するという「海保隊員として、国難に立ち向かう最重要ミッション」に従事している訳です。

そして海保機は「滑走路停止位置C5に向かいます。1番目ありがとう。」と答えています。

皆さんはここで少し、海保機の機長の立場に立ってみて下さい。
能登の人々に救援物資の海保として最初としての輸送という、もしかすると人生で、最も責任重大な事に向かう。しかも、「1番目に離陸」の優先順序を与えられた。
「滑走路停止位置C5から、滑走路に侵入し、そのまま離陸する許可を得た。」
そう解釈する人は皆無でしょうか?

管制官、海保機共にやり取りの中で『待機』の言葉は有りません。

17時45分11秒の管制官の指示が
「JA722A、東京タワーこんばんは。『離陸順位は』1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行して『待機して下さい。着陸機が有ります。』」
もしくは、17時45分19秒の海保機の
「滑走路停止位置C5に向かい『待機します。離陸』1番目。ありがとう。」
  (『』内は筆者改変)

とのやり取りになっていれば、海保隊員5人が殉職しなかったかもしれない。

以上は日本語訳され公開された情報に基づく記事公開時点での考察です。
現実での航空管制は通常英語で行われてます。しかし、英語ネイティブなイギリスとアメリカでも慣用句その他でニュアンスや意味が違ったりします。ましてや、日本語を母国語とすると思われる羽田空港管制官と、事故機双方の機長が細やかなニュアンスを含めて詳細な意志疎通を完全に出来ていたかは未知数です。羽田空港は国際空港であり、航空管制では世界共通語としての英語を公用語として使用する事が規定されています。その為、航空管制の英語は誤解の無い様平坦で簡易な表現である事が求められてたと思います。訳次第で微妙な揺らぎが生じる事が有ります。
一説によると、羽田空港の管制官の英語は、日本語母国者以外のパイロットから、聞き取れないとかという話も散見されます。一方で、航空管制は「コマンド(ゲーツやパソコンのコマンドとほぼ同意)」なので、問題はないとの意見も有ったりもします。
筆者の英語力は下の下なので、管制記録が英語の原文で公開されても、読みこなす事は出来ません。
ただ、やはり肝は日本語訳にも表れてない双方に「待機」が使われていない事かと考察します。

なお、海保のJA722は東北の震災で津波で水没した海保保有の航空機の中で、唯一修理されて任務に復帰した機体です。機長初め、同機クルーは様々な想いを持って任務に付いていたと思います。私としもやるせない思いです。

さらに、海保機で唯一生き残った機長の葛藤の心中は想像を絶するモノが有ります。

最後に、今回の震災で犠牲になった全ての人に深い哀悼の意を表します。
また、未だに救助活動が行われていて、1つでも多くの命が救われる事を願います。

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