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雷神・妖精・赤い妖精・暗黒の雷神

雷神・妖精・赤い妖精・暗黒の雷神。
なんのこっちゃ、ゲームのキャラかと思うだろう。
実は、これは、みんな雷(lightning)です。

と言っても、地方によって、雷の呼び名が違うとかいうのではない。それぞれ、起きる場所、形、色等が違うのです。

https://apod.nasa.gov/apod/ap210524.html

まずは、雷(lighting)。こんな感じだ。

写真は、ギリシャのイカリア島で、撮影されたもの。
ちなみに、この地域は、起伏の多い地形と奇岩が多いことから、山羊の惑星として知られているという。

実は、この写真、雷光によって、紫に染められた雲間に、皆既月食の赤い月が小さく見えるという、特別の写真です。
引き込まれるような風景だ。

https://www.sciencenews.org/article/space-station-detectors-found-source-weird-blue-jet-lightning

続いて、妖精(elves)とブルージェット(Blue jet)。

雷というのは、放電現象だということは、知っていると思う。そして、落雷というように、空(雲)から、地上に向かって、電気が流れてくるのが、一般的だ。

しかし、雲から、さらに上空に向かって、放電される現象がもある。ブルージェットと呼ばれるものだ。

ブルージェットは、雷雲の上部から、成層圏に向かう放電現象だ。高度20km程度から、高度50km程に至るまで、青いジェットが噴き出すような形で現れる。

下の動画のように、まず最初に雷雲の上層部で、エルブ(elves)というドーナツ型の放電現象が起きる。
その後、この青いジェットのような放電が起きる。

このジェットが青いのは、この高度になると、イオン化された窒素が青く発光するのだと考えられている。


続いて、赤い妖精(red sprites)。

https://apod.nasa.gov/apod/ap190225.html

これは、ブルージェットよりさらに高く地上から50km〜90kmの高度のところで発生します。形は、写真のようにクラゲ型、ニンジン型、柱状と変化に富んだ形になる。

上部は赤く、最下部は青色になることが多い。
これは、イオン化した窒素原子が発光していることによるのだと説明されている。

普通の雷と違って、数ミリ秒しか存続しないし、発生する高度が高いので、雲に遮られて見にくい。そこで、高高度を飛ぶ飛行機のパイロット等からの報告はあったものの、1998年に、確認されるまで、その存在は疑問視されていたのです。

下の動画は、少し長いが、赤い妖精がどんなものか良くわかると思う。


下記の図は、それぞれの雷が、どの高度で発生し、どんな形や色をしているかを対比して示している。


https://en.wikipedia.org/wiki/Sprite_(lightning)

さて、最後に暗黒の雷光(Dark lightning)。
暗黒の雷光なんて、言葉として矛盾していないか。
暗黒というのは、光がないことなのに、雷光とは。

そうなのだ、言葉としては矛盾している。
実際光は見えない(可視光線では)。
では、どんなものが発生しているかというと、ガンマ線。

そう。
雷光の代わりに、ガンマ線バーストが起きているのだ。
このガンマ線バーストは、自然に発生する物としては、最も強いもので、ガンマ線フラッシュとよばれている。

そのメカニズムは、まだよくわかっていない。
そのガンマ線の強さは、一回で、人間が1年間に許容される放射線総量相当に達するようだ。

高い高度の雷雲の中を飛行すると、この暗黒の稲妻(ガンマ線バースト)に、遭遇する可能性が高い事になる。
と言っても、通常は、飛行機は雷雲を避けて飛行するから、それほど心配はいらないようだ。

おまけ。
下の写真は、天の川、超新星、流星、赤い妖精が一度に写った、まさに、ワンチャンスを捉えた写真。


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