死ぬ時がわかって生きるというのは、計器飛行するようなものね
どうも現実感が湧かない。
一年後に死ぬとか言われても、ピンとこないのだ。
そりゃ、最初に宣告を受けた時、えっ!だったけど、
時間が経つと、「ほんとかいな」に近い気持ちになってきた。
まだ、自覚症状が出ていないせいだろう。
ドクターに、一年で死ぬなら、それまでどのような経過(何ヶ月後にどんな症状になる等)を辿るのか教えて欲しいと聞いたら、それは個々人で差があるからなんとも言えないと言われた。
そりゃ、個人差はあるだろう。けれど、一年というなら、典型例を想定したはずだし、そのようなケースでいいから教えて欲しいと再度尋ねた。
そしたら、少しキレ気味になって、個人差や状態によって変わってくるから、分からないのだということを強調される。
私は、?!?。
私は、個人差や状態の違いを前提に話している。
一年というからには、何かを想定しているはずだ、その想定の下でいいから、これから起きる症状を教えて欲しいと言っているだけなのだが、・・・私の問いは理不尽だろうか。
このドクターには、まだ2回しか会ってないが、優秀なんだろうと思う。すい臓がんは、2cmくらいの大きさになるまで、5〜6年かかるらしい。
私のは、4.5cmあるというから、10年くらい前にできたのじゃないかと思う。
この10年間、誰も気づかなかったものをCTの画像と見て、一発で発見したのだから、少なくとも他の医者より優秀だと思う。
しかし、もしかしたらこのドクター、癌を発見する能力は高いが、癌治療に関しての腕前はあまりないのかもしれない。
だから、私の質問のような一般的な経過の説明ができないのだろうか。
あるいは、1年も難しいというのは、数ヶ月だという意味で、それを2度しか会ってない患者に伝えるのが忍びなかったのだろうか。
さて、話を戻すが死ぬ時期がわかっていると言っても、死刑の執行日が決まっているのと、病気で死ぬのでは違う。
死刑の執行なら、ただ単に、残り日を数えていればいい。
しかし、病気で死ぬなら、途中の症状を目安にするしかないではないか。何せ、死ぬなんて初めての経験なんだし。
死ぬまでに表れる症状を目安に、残り時間や対応策を考えなければならないのだ。飛行機の操縦で言えば、有視界飛行ではなく、計器飛行をするようなものだと思う。
一度も飛んだことのない空をマップと自機の計器を頼りに、目的地に飛ぶような。
ドクターが教えてくれないなら仕方ない。
自分で情報収集だな、大急ぎで。