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新規事業企画における「良い仮説」の磨き方

新規事業は仮説の検証をひたすらに繰り返していくことで成長していきますが、このなかで当然良い仮説(と判断されたもの)が採択され、最終的に事業化承認を得ることができます。
※事業化承認されたらされたでそれ以上に過酷な道が続くのですが。。

それではそもそも「良い仮説」とはなんなのでしょうか、について色んな方のご意見をもとに一番しっくりきたnoteです。

事業仮説の方程式

ではさっそく、事業仮説の方程式です。

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事業仮説 = 情報量 × 思考力 × 素直さ
情報量
・日々のニュースはもとより、顧客へのヒアリング量とスキル、様々な最先端のツールやトレンドの収集、習得。自らの情報ソースそのもの
・身近な景色や移り変わりからも貪欲に吸収する目利き
・たまには寄り道をしたり、仕事と関係ない人と話してみたり

思考力
・収集した情報をもとに、新たな発見や気付き、また分解・再構成する能力
・自分の強みを的確に理解し、他人はなぜか着目していない構造や課題に気付き、自分なら解決できる方法を想起する力、論理構成力
・事業の魅力を短い言葉に要約する力、お金や時間に換算する力

素直さ
・情報やきれいな理論だけでは知り得ない事業推進の泥臭い部分を楽しめたり、知らないことでもやってみたり(LPとか動画作ってみるとか)、実践者に貪欲にコンタクトしたり、仲間を惹きつける情熱
・思いついたアイデア・仮説を周りの人に話しまくる居ても立っても居られない感
・自分が感じている本当の怖さに向き合う勇気

この3要素の掛け算で仮説のクオリティは向上していきます。つまり、同じ情報量を受け取ったとしても、論理的思考力がなければ表層的な分析に留まり、素直さがなければ孤立無援になったり同じ情報を入手してもバイアスがかかって受け取ってしまう。ときに自分の内なる感情に向き合う素直さも必要です。(何に怖がっている?失敗?会社の評価?中途半端なアウトプットを出して批判されること?自分に能力がないことがバレること?)


事業を説得する仮説の方程式

さて、これだけでも十分ですが、さらにこの仮説を事業化承認までこぎつけるためには、「魅力的な仮説である」ことを第3者に伝わるように説得する必要があります。そちらが以下です。

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事業の説得力 = 事業仮説 × 表現力
表現力
良い仮説であることを説得するためには表現力が欠かせません。
表現力とは一言でいうと「美学」です。ともすれば普通の会社員をしていたらあまり意識しなかった能力かもしれません。

美しいと感じるコピー、文章、美しいプレゼン、グラフ、仕組み。素直さとも直結するところがこの表現力です。(いまではノーコードツールなどでやってみれば案外できることもありますし、わからなくてもWebやYouTubeを調べればできるようになります。)

仮説の解像度が高まるほど、それをシンプルに伝える能力が加速度的に問われてきます。表現力が低ければ、仮説の魅力は伝わりません。ここには明確に個性が加わってきます。ここでも要約する力が問われます。

オススメは両親やパートナーなど、仕事もリテラシーも全く異なる人にプレゼンをして、「要するにこういうアイデア/サービスなのね」「私には難しいことはわからないけど、このアイデアで救われる人がどういう人なのか具体的に想像つく。あの人とかその人とか」といった反応が得られるかどうか、が効果的です。

現在は美しいプレゼンやスライドであればTEDやスタートアップピッチイベントの動画、トップ企業の決算発表(ログミーとか)など、少し調べれば最先端で良質なコンテンツがすぐ見つかります。もちろんnoteの中にも「こうやって資金調達に成功しました」といった記事が見つかります。(わたしがリーンスタートアップを始めた2008年頃とは雲泥の差!)


成功しているあらゆる事業が最初から美しかったわけではなく、泥臭いことや運などの要素が絡んでいますが、成功事業はすべからく表現力が凄まじく美しいです。この表現力の習熟が仮説をより魅力的に伝え、そこに人は成長の説得力・実行力を感じます。


表現力を磨くには

最初からすべてを持っている人はいませんが、まずいま目の当たりしていて無意識にスルーしている情報や実際に外に出て、「美しいとはなにか?」を意識してみてはいかがでしょうか?自ずと情報の質や素直さの感度もあがってきます。

広告なども「フン、広告か」とスルーするのではなく、良いな(ダメだな)と思ったものは保存しておく、コピーをメモっておく。それだけでも段違いに役に立ってきます。

私個人としては、「妻が第一子を妊娠したことがわかった次の日から通勤電車に妊婦が増えた」という体験が自分が如何に見えていなかったかを自覚した瞬間です。
もちろん現実的にある日突然妊婦さんが増えるわけはなく、私の目・脳が今までそのことを認識できていなかった、というだけのことです。SB時代に推進したLGBT施策もその発展です。

このことを自覚して以降、私は事業案自体には困らなくなり(課題は世の中にいくらでも見つけられる)、単に自分がすべきか否か、投資に見合う規模になるか、固定費を抑えられるか、スケールするかどうか、と問うようになりました。情報や素直さを磨くとはそれくらいシンプルなことなのです。


それではまた。


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