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僕の初めての金融体験
小学生のころ、給食の牛乳キャップを集める遊びが流行りました。仲間と牛乳キャップを机の上に一枚ずつ並べて、順番に息を吹きかけてひっくり返したら、自分のものにできるゲームです。
わたしの住む地域は貧しかった。だから、家で牛乳を定期購入する家は少なかったのです。そんななか、牛乳屋さんの息子と、お金持ちの息子だけ、給食の牛乳とは違うキャップを持っていました。中には、フルーツ牛乳やコーヒー牛乳という、レアなキャップがありました。
牛乳屋の息子と、金持ちの息子は、レアなキャップを持って来て、レート設定を持ちかけるのです。僕たちは、目をキラキラさせながら、「じゃあ、普通のキャップ10枚と、コーヒーのキャップ1枚でいいかな」と交渉しました。
その交渉成立後は、休み時間が激しくバトルとなりました。なかには、友だちのものを盗むとか、レアなキャップが無くなるということも発生して、担任の先生や親を巻き込んでの騒ぎにもなりました。
そんななか、ある金持ち息子が、大量のコーヒー牛乳キャップを持ってきたのです。そのとき、急にコーヒー牛乳キャップが、あまり欲しくなくなってしまいました。それよりも、フルーツ牛乳キャップの方が欲しいと。
人間は、少ないものの方に、価値を見出す生き物なのかもしれませんね。
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