江口某

てすと中。

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最近の記事

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥはこういう終り方だったらよかったのに

映画はほとんど見ない老人なのですが、見てしまうとあれこれ反芻して考えちゃうタイプです。今回はジョーカーフォリアドゥとかってやつをうっかり見てしまい、全体としてはたいへん楽しんだのですが(特に裁判所でのゲイリーとのシーンは最高でした)、判決以降のところが残念な感じだったのでどんなエンディングがよかったのかなあ、みたいなのはずっと考えてしまいます。 「フォリアドゥ」とはいうものの、別に二人のあいだに特別ななにかがあるわけじゃないわけすよね。どっちもたいして狂ってないし。ガガ様の

    • 『プラダを着た悪魔』とエロティックキャピタル

      昔(2020)書いたもの。https://yonosuke.net/eguchi/archives/11488 『プラダを着た悪魔』も全体を2回ぐらい、部分的には何度も観なければならず、トランスクリプションも確認することになってしまったわけです。主人公アンドレアはボスのミランダからセーターの件で勉強不足、認識不足をディスられ(すごい名場面、何度見てもほれぼれする)、ナイジェルにグチったらお前はなにもしてない、早くやめろとディスられ、そこから例の女性なら誰でも夢見る変身シーン

      • 『東京ラブストーリー』は本当に性的自律の話かな

        昔(2020)書いたもの。  学生様が母親が好きだった『東京ラブストーリー』を再放送で親といっしょに見て、おもしろかったのでそれで卒論を書きたい、とか。DVDもらって私も見た。あれは一般にヒロイン赤名リカの「セックスしよう」発言で女性の性的自律とかそういうのの話ってことになっていると思うわけですが(そういう論説や論文がある)、ぜんぜんそういうものではない、という印象。 そもそもあの物語の主人公は実は医学生の三上であり、そしてその同級生の女子医学生長崎尚子の活躍の物語だと思

        • 『ラ・ラ・ランド』は恋愛というよりはダメな人々を描いている

          昔(2020年)書いたもの。オリジナルは  今年は『ラ・ラ・ランド』で困りました。私この映画、前作『セッション』ほどではないけどひどすぎると思ってたし。でもまあ何度も見ながら学生様と解釈考えてたら、おもしろいアイディアを教えてもらいました。 この映画がひどいのは、「本物のジャズ」がテーマだって言いながら、ぜんぜんジャズじゃないところですわね。あるいは、音楽が好きだと言いつつ音楽を尊重していない。音楽が(冒頭とジャズハウスとジョン・レジェンド先生の以外)ぜんぜん本物じゃない

          『猿の惑星』についての私の感想もやっぱり最高じゃないだろう

          独自ブログに分割して書いてたものをまとめてみました。オリジナルは  前回、北村紗衣先生の連載をきっかけに『ダーティハリー』を見ておもしろかったので、『猿の惑星』も見てみました。 ええっと、まず最初に断わっておきたいのですが、私は猿はあんまり好きじゃなくて、というのも数年前に自宅の近辺で猿に襲われそうになったことがあるからです。住んでる借家が大きなお寺の広いほぼ敷地内にあって、そこは京都の東山連峰と林でつながってるんですね。それでそのころ猿が降りてきてたんです(最近はイノシ

          『猿の惑星』についての私の感想もやっぱり最高じゃないだろう

          『ダーティハリー』の感想についての私の感想は最高ではないだろう

          個人ブログに分割して掲載した記事をまとめてみました。オリジナルは https://yonosuke.net/eguchi/archives/17241 から。 18月下旬に、北村紗衣先生の『ダーティハリー』(ダーティーハリーではない)のweb批評あるいは「感想」が話題になって、局所的に私にはおもしろい議論になっていました。私の最初の印象は「なんかたしかにポイントはずしてる感じの映画批評だなあ」だったみたいです(ツイッタに書いてた)。 でも私は映画は人生でほとんど見てこなか

          『ダーティハリー』の感想についての私の感想は最高ではないだろう