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Yononakaレポート㉙「はたらく」

正解のないお題に対し、参加者同士コミュニケーションをとりながら、テーマの理解を深める「Yononaka」
今回は「はたらく」をテーマに、計22名でYononakaを創りました!(小学生8人、中学生5人、高校生2人、大学生1人、社会人6人)

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今回は1,2回目の参加者が多かったので、冒頭でYononakaのルールをしっかり伝えました。

思うことがあればその場でつぶやく。
スライドの説明や他者の意見はすべて信じ込まない。
世間一般の正解ではなく「自分の納得解」を発言する。
これがYononakaにおける作法(リテラシー)です。「静かで素直で正解を素早く答えられる人」の逆です(笑)

特に、今回はゲストトークの時間があり、いつもより主催者側の話が絶対的な正解のように受け取られる可能性があったため、「上手に疑う」ことを強調して伝えました。

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まずアイスブレイクをしました。

この問いかけに対して、
『お金!』『生活するため』
『生きていくため』『おかね!』
『ごはん食べるため』『お金を稼ぐ!』
といった声がありました。

まあそうですよね。「お金を稼ぐため」というのが一番イメージされやすいと思います。
なので、まずは「お金を払う消費者はどんなことを考えて払っているのか」ということを、自分が払ってきた場面を思い出しながら考えていきました。

お題①「お金を払うときの基準について考えよう(どんな商品やサービスならお金を出しますか?)」

まず1分間1人で考えてから、3,4人のグループで共有していきました。

「生活に必要なもの」「欲しいと感じる」「自分にとって価値がある」このあたりの意見が多かった印象です。
「その日には決めず一日置いて考える」「一週間寝かせる」といった意見に関しては、他の参加者から『なるほどぉ』との声があがる一方で、『そんなん売り切れてまうやん!』とツッコミを入れる参加者もいました(笑)

買うか買わないかを判断する際の重要な基準は、「価格と価値の関係を考えること」だと思います。需要と供給について説明してくれた参加者もおりましたが、その点について問いかけを交えながら深掘りしていきました。

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最近この商品安いなぁと思ったことはありましたか?
『カップラーメン!』
『〇〇のゲーム!』
『〇〇のカレー!』(ZOOMで見せながら)

なるほどぉ。例えばカップラーメンはいくらやった?〇〇くんはいくらまで払える?
『80円くらいで買えたかな。160円くらいまで出せるなぁ』

なるほど、ありがとう。
たとえば人気ラーメンチェーン「一蘭」のラーメンは980円で売っています。これに対して「1,500円出してもええなぁ」と思えば、喜んで購入し、美味しくすするでしょう。商品の価格より自分が付ける価格(=価値)が高ければ、買うという行動に出ますよね。
しかし同じ一蘭のラーメンでも、焼き肉食べ放題でお腹パンパンになった後ではどうでしょうか。恐らく1円でも食いたくないと思うでしょう。価値はその時の感情によって変動するものでもあります。

次に「最近この商品高いなぁと思ったことはありましたか?」と問いかけ、やり取りをした後に、「ポケモンカードにはめっちゃ高いものがあるよね、どう思う?」と聞いてみました。

ポケモンの人気はとてつもないです(笑)
参加者の半分くらいが手を挙げて
『強いから!』
『レアやから!』
『今は手に入りにくいから!』
『普通に買ったらランダムの抽選になるから!』
などの意見を出してくれました。

まさにそうだと思います。レアだから価格が高くても取引されています。言い方を変えると「希少価値が高い」ということですね。

そしてここで少し踏み込んだ問いかけをしてみました。
「正規の値段でカードを買って、異常な価格で販売する人についてどう思いますか?」

『ずるい』
『販売会社にお金が渡っていないから小汚いと思う』
の声に対して、

『別に賢いと思う』
『買う人は事前に調べてないから仕方ない』
という声。

さらに、
『本当に欲しい人がいるのに高く売るために買うのは良くない』
『買い占めるのはやり方が良くないかなぁ』
といった意見も挙がりました。

素晴らしいですね。「これは悪い」という一面的な見方ではなく、皆がそれぞれの意見を出していたのが印象に残りました。
そこでもう一つ質問しました。
「転売ヤーは働いている、あるいは仕事をしているといえるんかな?」

『いえない』
『違う!』
『別にやることはいいと思うけど、仕事とはいえない』
ここでは一同に「いえない」という意見が挙がりました。

なるほど。
でも冒頭で「働くって何のため?」と聞いたとき『お金を稼ぐため!』という意見が多かったよね。この人たちはお金を稼いでいると思うけども、それでも仕事とは言えないのはなんでだろう?

『頑張ってないから』
『人の役に立ってないから』
『いろんな人に行き渡らないようにするのは仕事とはいえないんじゃないかな』
『動いていない。働くの漢字に「動く」が入っているのに動いていない。』

なるほど、いいですねぇ。
じゃあ「働く=お金を稼ぐため」だけではなさそうですね。みなさんの頭の中のイメージも少し変わってきたのではないでしょうか。それでは、次のお題に入りたいと思います。

お題②「働くことで、お金以外に得られるモノやコトってなんだろう?」

非常に多様な意見が出ました。転売ヤーの事例や、お金の存在を一旦横に置いて考えることで、視野が広がったような感じがします。アイスブレイクの「働くって何のため?」では見られなかった新しい視点がいくつも浮かび上がりました。

ここで休憩を挟み、ゲストトークに移りました。

ゲスト:ガンブラン岡崎花那さん「仕事と働くときに考えていること」

今回ゲストとしてお話しいただいたのは、多様な働き方をされてきたガンブラン岡崎花那さんです。中学生の時にホームステイを経験し、それをきっかけに独学で英語を習得し、フランスのパリで生活と仕事をされてきました。そのパリで知り合った方と結婚され、現在は実家である大阪の八尾市に戻って子育てをされています。お子さんはキープオンのスクール生でもあります。

お仕事の経歴もおもしろく、「アロマテラピー講師」「HISパリ支店」「フランス大手銀行のBNP」など、多岐にわたります。それぞれの仕事の内容や、英語を話せるようになった理由などについて、わかりやすくお話しいただきました。

唯一無二の経験をされてきた岡崎さんは、多様な活動をする中で意識しているキーワードがあるとのことでした。それは、「これってどうなってるんだろう?」という探究心や、「これとこれをつなげたらどうなるんだろう?」というイマジネーションなどです。
そして、そのきっかけになるのがコミュニケーション。いろんな人とコミュニケーションを取ることで新しい仕事が生まれたり、文化の素晴らしさに気づいたり、イマジネーションが広がり、多様な表現ができるようになったとのことでした。
現在は筆手紙道協会のディレクターとして、「書くことの楽しさ」を深掘りしながら多様な活動をされています。

岡崎さんのお話を聞いて、参加者一同驚きの様子。
『26ヵ国54都市も行かれたことがあるなんですごい!』
『数えるのもすごい』
『独学で英語を勉強し、それで色んな仕事ができるようになったのはすごい』
といった感想がありました。

岡崎さんの話によって、ますます働くことについての新たな視点を獲得できたと思います。そこで、最後のお題では「働く立場になって考えてみよう」ということで、以下のお題を投げかけました。

お題③「売っていないモノやコトに自分なりの値段をつけてみよう(どんな人に対して?どうやって売る?)」

正直、難しいお題だろうと思っていました。売っていないモノやコトを新たに考えることに加え、価格設定やターゲット、宣伝方法まで考えるのは難解だと。
しかし、それでも想定以上に意見が活発に出ました。子どもたちの頭の柔らかさにはほんと驚かされますね。

ユニークな意見がいくつも出ました。全体で意見を共有しながら、一つ一つの意見に対してみんなであれこれ話し合い、楽しくワークを終えることができました。
参加者の感想の一部を以下に記します。

・今はまだないサービスを出し合ったところが楽しかった。
・アラーム代行の意見がいいと思った。お金を払わないといけないという意識がいき、起きれるというシステムがいいと思いました。
・ゲストの人がいろんな国に行き、いろんな仕事をされていたことが印象的でした。
・みんなが転売に対して考えていることが「悪い」の一面だけじゃなかったこと。
・働く=お金を稼ぐではないことを知りました。
・クローンがもし作れたとしたら、全く同じ性格で同じような人間がになるのかなと思った。
・次は働く時に大事にしないといけないことや権利などを、話し合ってみたいです。

授業レポートは以上になります。
次回は「きく」をテーマに、参加者同士コミュニケーションを取りながら考えていきたいと思います。


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