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本当に人を救うものは既に身近にある!~ことわざ屋物語~(1)

【胸に残る昔話】

中学生の頃に読んだ昔話なのではないかと思いますが、ずっと胸の片隅に残り続け、極意塾構想のヒントにもなった短い物語があります。
残念ながら、調べてもまだ作者も題も分からないままなのですが、こんなような話です。

長い旅に出る人が、尊い知恵を授けてくれる所があると聞いて行ってみました。
簡素な作りの館に入ると、質素な身なりの女主人が正座していました。

事情を説明し、ぜひ知恵を授かりたいと言うと、値段によって違うとのこと。
それではと、いちばん安い1両を支払い何を言ってくれるのかとワクワクしていると、……
「転ばぬ先の杖」
たった一言、これだけ言ってあとは何も言わず澄ましている(笑)。

そんな子どもの頃から知っている事を言われてもと思い、「では、5両の知恵を!」と5両を差し出すと、……
「橋に来るまで橋を渡るな」
……これだけ。

そんなものに5両取るとは!と怒りが込み上げそうなところをじっとこらえて、(では、最高額の10両の知恵なら、今まで聞いたこともないよほど素晴らしいものではないか!)と思い直し、
「それでは10両のお知恵を!」と大枚を叩くと、また涼しい顔で、
「君子、危うきに近寄らず」
騙された!と思って憤慨して帰り、支度を整え旅に出ました。

しかし、その後、時々言われた事を思い出し、「そうだったな」と氣付いた事を実行していると、それから次々やって来た命を落としかねないほどの大災難をすべて逃れることが出来た!(物語ではその詳細が描かれていました)。

旅から帰って、そのことわざ屋にお礼を言いに行ってみると、そこには誰もおらず館も消えていた……とまぁ、こんなような話でした。

実はどんなことわざだったかも忘れてしまいましたが、ここにあげておいたもののような誰もが知っているようなものだったことは覚えています。(極意塾投稿No.289)

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