相掛かりの▲16歩を他の手にすると危険な局面①

suimon_fan氏が公開している先手番専用定跡s-book_blackでは、相掛かりの序盤で▲16歩とする手がよく出てくる。
今回はその中から、▲16歩とせずに他の手を指した場合の進行を考えていく。

初手からの指し手
▲26歩△84歩▲25歩△85歩▲78金△32金▲38銀△72銀▲96歩△52玉▲46歩△86歩▲同歩△同飛▲47銀△84飛▲87歩△94歩(第1図)

第1図

本記事の題材は10手目△52玉から歩交換した後、△84飛〜△94歩と突くこの局面。
シンプルな局面だが、早くも腕が問われる展開だ。
定跡ではここで▲16歩とするのだが、▲76歩の方が自然で指される割合が圧倒的に高い。するとどうなるか。

第1図からの指し手
▲76歩△34歩▲24歩△同歩▲同飛△86歩▲同歩△同飛▲28飛△76飛(第2図)

第2図

▲76歩には△34歩と角道を通し、先手が歩交換してきた時に△86歩と合わせる手が有力な反発。
▲28飛に代えて▲22角成〜▲77角とする変化は以下のポストを参考にしてもらいたい。
第1図から▲16歩△14歩の交換が入っていれば、▲22角成からの変化が本線になるところだった。

△76飛と横歩を取られた第2図では①▲68玉②▲66歩③▲77角が主な候補手として考えられる。
①▲68玉は△86飛と戻られ、▲24歩△88角成▲同銀△22歩(第3図)が一例で先手不満。

第3図

②▲66歩は穏やかな進行になりそうだ。以下△23歩▲77角△74飛▲88銀△84飛▲56銀△74歩▲87銀△75歩(第4図)と進んだのが私の実戦で、これも先手不満な進行になっている。

第4図

③▲77角がおそらく先手の最善手だと思う。
以下は△74飛と△93桂に分岐するが、個人的には△93桂を推したい。以下▲86歩△85歩(第5図)と進んでどうか。

第5図

第5図から▲95歩とするのは自然で、floodgateの前例もある手だが、△86歩▲83歩△81銀▲94歩△85桂▲22角成△同銀▲77歩△74飛▲93歩成△27歩▲同飛△87歩成▲同金△54角(第6図)と進むと後手優勢になる。

第6図

先手としては第5図から▲56銀△86歩▲45歩(第7図)が最強だと思う。これを打ち破れるかどうか。

第7図

以下は△27歩▲同飛△26歩▲同飛△77飛成▲同桂△35角(第8図)の激しい展開が予想される。
これが後手良しなのか筆者はよく分かっていないところがあるので、他の方の見解も聞いてみたいところだ。

第8図

まとめ
10手目△52玉の形では、特に▲16歩が重要な手になる展開が多いので、かなり理解度を高める必要がある。出来るだけ言語化して自分の将棋に生かせるようにしたいところだ。

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