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【指す順9th】燕軍団さん戦(1回戦)

結果

将棋って、勝ち負けが全てじゃないからね。
魂でぶつかって、楽しく対局して、感想戦ができたから、いいんだ。
…………(つд⊂)エーン


燕軍団さんの印象

居飛車党のイメージだったが、そうではなかった。過去の棋譜を見ると、振り飛車も指しこなしている。ウォーズの得意戦法に至っては『四間飛車』『振り穴』である。指す順放送局では下記のように紹介されている。

すごいしっかりとした定跡形から手を作っていく
相手の攻めに乗じてしっかりと手を作っていく

 by 指す順放送局#3 カタン民さん

仰る通りで、序盤は主張を通してくれるから、気持ち良くなれる。だが、地力で押し返す力を持っている。こやつ、指せるぜ…。

ところで、燕軍団さんとは過去に3回指している。

お願い!もう雁木右玉から卒業して!

敗北… 第6期 月光戦 B級2組 棋譜
勝利! 第7期 月光戦 B級2組 棋譜
敗北… 第9期 晴王戦 A級 棋譜

対戦成績は1勝2敗。月光戦。晴王戦。懐かしい棋戦名だね。
今回は久々の手合わせなので、当時とは一味違う姿を見せようと臨んだ。

駒組み

ふつくしい雁木右玉

戦型は、ガチガチの力戦。雁木vs雁木。三段玉vs金冠。これは計画通りだ。
俺と雁木右玉は、10年来の付き合いである。相棒のようなものだ。AIの評価値は既に後手に振れているが、それすらも計画通りなのだ。
4七玉型はキシアスペシャル。お相手が地下鉄に構えた場合、4八金を2六地点まで持っていく。すると、端を補強しつつ棒金もできるのである。

仕掛け

△6五歩に、じっと▲5八金。渋いね~!

右玉は、角交換を目指すのが鉄則。先手は、後手から△6六歩と取り込ませて、▲同角から角交換を狙っている。
だが、局後の感想戦によると、▲5八金は悠長だった。後手から△4五歩と突く手が強烈で、先手が形勢を損ねている。

左図:▲同歩には、△同桂、▲4六銀、△6六歩
右図:▲6五歩には、△同桂、▲6六銀、△4六歩、▲同玉

△6五歩に▲5八金は悠長であり、もっと△4五歩に備える手を指さなければならなかった。では、どうすれば良かったのか。

再掲:△6五歩の局面

△6五歩に▲3七桂はさすがに打てない?

by 師匠のC氏
せっかく持ち駒にした桂馬を、3七地点に打ち戻す。

いや確かに△4五歩は受かるけど…! こんな手は指せないよ…。
しかし同門のK氏の調べによると、この局面では▲3七桂が最善とのこと。
さぁすが師匠だな!

本譜は▲5八金、△6六歩、▲同角と進んだ。ゲームスタートだ。

羽生ゾーンに自陣桂

感想戦で出てきた高度な手筋を紹介する。この局面、何を指しますか?

AIは、▲7五歩や▲8五歩が良いと言っている。▲7五角は少し劣る。
師匠は、▲6三歩と言った。以下、△同飛に、▲8七桂!

そんな馬鹿な! 羽生ゾーンに自陣桂

これは、▲7五桂~▲8三桂成の狙いと、▲7五桂~▲6三桂成の狙いを持っている。以降の変化を追った結果は下記の通り。先手も戦えていることが分かる。恐るべし師匠…。

捌きと悪化

先手ペース(自称)

数手進んだ局面。6筋は最強スクラム。8筋は拠点あり。この局面は、角交換すれば先手良しと見ていた。それってあなたの感想ですよね?
だが、後手の攻めが早かった。数手後の△4五歩が刺さっている。

△4五歩に▲同歩は、△4六歩で拠点を作られる

本譜は、△4五歩に▲6七歩と受けたが、△4六歩と取り込まれて困っている。▲同玉と取ると、△4五歩、▲3七玉、△8八歩で、△4六桂の狙いが残って面白くない。
この辺りから先手が悪いと感じていた。だが、AIの評価値は、駒組みの時点で後手に振れている。………許せん!

訪れたチャンス

駒割りは、先手の銀桂損。

1手毎に、秒読みの60秒を使い切る。そして、この銀打ちを待っていた。すかさず▲8九飛。△4七銀成、▲同玉、△9七馬、▲5四歩と進む。

先手まだ舞える

▲5四歩を、△同銀右とすると、▲5二角成が決まる。△同銀直でも、▲4四歩で、ぴったり銀を取り返している。本譜は△4四銀右。だがこれも、▲5六桂が決まっている。お相手は銀を諦めて△4二金。
そして、渾身の一手。▲7二と。(下図)

ドヤ顔で指した一手

私の読みでは、△5一飛、▲6五角まで。続けて▲4四桂、△同銀、▲5三歩成も見えていて、大満足であった。
だが、燕軍団さんは、とんでもない一手を用意していた。

本局の一番の見どころ★★

本局の一番の見どころ★★

△6四飛! そんな手は読んでいない! 桂馬の利きに突っ込んでくる飛車。そんな馬鹿な。60秒いっぱい考えて、▲同桂。すかさず△同馬。
逃げ場がない。角を取られたら終わりなのだ。でも角は受からない…。

そこからは粘りも虚しく、正確に押し切られて、首を垂れる。初戦、黒星。昇級への道は険しく立ちふさがった。

150手目、△5八桂成まで

まとめとご挨拶

燕軍団さんは強かった。強かったけど、負けたのは悔しい。……(つд⊂)エーン
学生の頃、毎月のように地方の将棋大会に出ては負けて帰ってきて、翌日は放心状態で学校に行っていた。そんな青春の日々を思い出した。

なぜ今年はこれほど思い入れが強いのか。ある企画に携わったためである。
今期『指す順放送局』という情報番組に携わっています。各参加者を深堀り、毎週の対局を振り返る、面白い番組になっていますので、ぜひ観てみてください!

そして、noteも記念すべき初投稿。岸亜双と申します。よろしくね!
なんか1局目から書き過ぎちゃったね。これでは長続きしないので、次から文量を抑えます。
指す将順位戦は、まだまだこれから。2局目は負けないぞ!ここまでお読みくださりありがとうございました!

2024/6/23追記
A級2組の1回戦がまとまっています!面白い記事だったよ!!!


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