おばちゃんとエンカウントする

職場には喫煙所がないので、お昼休みと定時後に近くの灰皿置いてるコンビニに吸いに行ってる。肩身が狭い。

毎日行ってると、この人結構見るなって人もいる。前に髪の毛をロングからボブにしたときに、毎日見るおばちゃんに「あれっ！　髪の毛バッサリ切りましたね！」っていきなり話しかけられた。びっくりして「まさかバレてるとは･･･！」と言った。まさかも何も。

この地域の人たちは、なんかすごい話しかけてくる。喫煙所のおばちゃん、おっちゃん、兄ちゃん、コンビニのおばちゃん。

先日、また喫煙所で話しかけられた。というか、いきなり「かわいいシャツ！」と言われた。その日着てたシャツは、胸ポケットの上に「フレデリック」って絵本のねずみの刺繍があるやつ。「ありがとうございます～～、絵本のキャラクターなんですよ」って返事したら、「ああ！　芋虫のね！」って言われた。

たぶん「はらぺこあおむし」のことだと思う。「はらぺこあおむし」ではない。と思いながら「そうでしたっけ～～？」とか言った。昼休みのおばちゃんエンカウント・イベント終了。地獄の仕事に戻った。

定時になり、残業するので一服しに行った。いた。昼休みのおばちゃんが、またいた。ええ～～～～と思ったけど、「あ、あれ～～～！？」って声かけた。おばちゃんも「あら～～～！」ってなった。定時後のおばちゃんエンカウント・イベントが始まった。

この近くに住んでるの？　あら、お仕事大変ね　わたしはこの近くに住んでてね　とかそういう雑談してたら、「そういえば！　そのねずみ、はらぺこあおむしよ！」と言われた。はらぺこあおむしではない。はらぺこあおむしじゃないんだおばちゃん。フレデリックなんだ。ていうか、ねずみだろこれ。青虫じゃねえだろ。

でもわたしもフレデリックって出てこなかったから「あ、そうなんですね～！」って言った。わたしは弱い。強い人間になりてえ。

おばちゃんはその日スパイダーマンのTシャツを着てて「マーベルが好きなんだけど、マーベルのロゴは60過ぎて着れないかなって･･･」「だからスパイダーマンのワンポイントのTシャツなの」って言ってた。「好きなの着ればいいんすよ！」って無責任なこと言っておいた。笑ってたので良かった。

その後、おばちゃんが医者にタバコ止められてるとか、禁煙したらパニック障害になったとか、結構重い話を聞いた。「ごめんね初対面の人に～～！」って言われて「いえいえ～」とか言ってる間に、（あれ、この話どっかで聞いたぞ）って思った。

よくよく思い出してみたら、半年～1年くらい前に、喫煙所で「わたしもう本当につらいの」って電話で誰かに話してるおばちゃんがいたんだよ。「パニック障害でね、鬱っぽくもなって本当につらい」って。その話と同じだった。この人、あの時のおばちゃんだ。

ええ～～～！　お前あんときの！！！　って思ってたら、「タバコ、また吸うようになったらパニック障害落ち着いたの」って笑ってて（良かったね）って思った。本当につらいのって言ってたけど、あれ、大丈夫になったんですね。良かった良かった。

医者にパニック障害になったって言ったら、「そこまでしてタバコをやめろとは言ってない」って言われたって。適当なこと言いやがる。本数減らしたりタール下げたりしながら吸ってるらしい。「本数減らしてるのよ～！」って言いながら2本目に火を点けたので普通に笑ったけど。

今後も元気に生きてくれおばちゃん。また喫煙所で会ったら、絶対に「はらぺこあおむしじゃないです」「フレデリックです」って言ってやるんだ。