ひとくちに「課税所得」といっても、所得税と住民税と事業税とその他とで違う件

所得、といっても合計所得金額とか総所得金額とかいろいろあってメンドクサイことこの上ないのですが、今回のテーマは課税所得金額…つまり、その金額に税率を掛けるときの掛けられる数(金額)のことです。

所得税と住民税の違い

香川県東香川市にあったPDFが良くまとまっているので、詳細はこのリンクに譲ります。

基礎控除額が所得税48万円(限度)に対し、住民税は43万円(限度)といったように、所得控除の多くが各々数万円ずつ違うわけですね。住民税の方が所得控除額が少ないです。そのため、住民税の方が課税所得金額は大きくなります。

住民税の方がより地域に根差して様々な行政サービスを受けているわけだからその分課税するベースを広くしているということです。まあそういわれれば。

事業税の課税所得

事業税という税金があります。都道府県民税です。「事業は、地方団体の各種の行政サービスを受益し、また各種の行政サービスの原因を作り出しているから、住民税とは別に、それに応じた負担をすべきである」(『租税法』金子宏)ために設けられている税です。

事業(及び事業的規模の不動産)所得(以下事業等所得)に税率を乗じて税額を計算します。この税率は業種によって異なっていますが3~5%です。税率の詳細は今回は措いておいて、この課税所得金額について。

事業税の課税所得金額
=事業等所得(青色申告特別控除前)-各種控除額(事業主控除(290万円)他)

事業主控除があるため、事業所得のある人でも事業税まで払っているという人は、実はそれほど多くないです(体感上。データ的にはよくわかりません)。事業税を支払うようになると、いっぱしの事業主って感じです。

児童手当の所得制限限度額での所得

2021年12月にかけてさんざん960万円とかいってたあの「子育て世帯への臨時特別給付金」で話題になったやつです。この給付金自体、もう忘れ去られていそうですが、そこで援用されたのが児童手当の支給基準です。

滋賀県大津市のWebにあったものがまとまっているのでリンクしておきます。

住民税上の課税所得金額と同じかと思ったら施行令に定める控除額が8万円あったり、給与所得又は雑所得(公的年金等に係るもの)があった場合10万円の控除がさらにあったり、基礎控除や配偶者控除(※)その他の所得控除がなかったり、よく見るとそこそこ違います。

(※)配偶者控除は下記所得制限額の計算上の扶養親族等の人数に含められます。

ちなみに、さんざんいっていた960万円は、給与所得者で配偶者(専業主婦(夫)+こども二人の場合の所得限度額の収入額の目安です。

給与所得であれば児童手当上の所得は
①:960-195=765万円…給与所得控除
②:(960-850)×10%=11万円(所得金額調整控除)
③:①-②-10=744万円…10万円は給与所得控除額の調整額
④:②-8=736万円
所得制限額は
ⅰ:38万円×3(人)=114万円
ⅱ:622(基礎額)+ⅰ=736万円
④=ⅰ となります。

この960万円という数値が独り歩きしている感が拭えません。

以上、やっぱりまったく紛らわしい所得のハナシでした。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。


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