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年金・社会保険における配偶者への制度まとめ

まえがき

この2022年5月にFP2級を受けて合格し、その勢いに乗じてそのままFP1級の勉強をしており、来る2022年9月11日(日)実施のFP1級試験も受験予定です。

どの試験でもそうですが、2級と1級とはその差がずいぶんあり、税理士会計士であれば2級はちょちょっと勉強すればいけましたが、さすがに1級ともなるとそうもいきません。なので、久しぶりにわりとガチ目で勉強しています。

FP試験は大きく6分野に分かれますが、税理士会計士の自分にとっての鬼門は年金・社会保険分野です。そしてその中でも、配偶者に対する制度手当と、各制度の併給調整が最も混乱するところです。ということで、今回はおよそ自身の勉強メモとして、年金機構のWeb等を見つつ、年金・社会保険の配偶者に対する制度についてまとめます。

なお、期間の例外とか、厚生年金ではなく共済年金の場合でちょっと違ったりとか、例外やパターンがたくさんありますが、下記では主要な厚生年金についてを取り上げており、一部省略しています。また、金額は全て2022年度のものであり、年によって違ってきます。悪しからずご了承ください。

年金法上の子

18歳になった年度の3月31日までの子(つまりふつうの高校生) or
20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子
…が年金法上での子の定義です。つまり障害のない大学生ともなれば、年金の上では子ではないわけです。以下もそれに従います。

老齢厚生年金の制度

加給年金

【趣旨】
〇老齢厚生年金の家族手当として老齢厚生年金に加算される

【要件】
・厚生年金保険の被保険者期間が20年以上
・被保険者65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、被保険者に生計を維持されている配偶者または子がいる
・配偶者は65歳未満
・配偶者の年収は850万円未満
・配偶者が、老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上に限る)を受け取る権利を持っていない(2022年4月1日以降改正事項)

【金額】
・配偶者、第1子、第2子223,800円 第3子以降74,600円(223,800×1/3)
・特別加算額 配偶者が1943年4月2日以後生まれであれば 165,100円を加算

振替加算

【趣旨】
・〇65歳になって打ち切られてしまう加給年金を65歳以降もカバー。配偶者の老齢基礎年金に加算する。

【要件】
配偶者が老齢基礎年金を受給する資格を得たとき(満65歳到達時)において
・配偶者が1926年4月2日から1966年4月1日までの間に生まれた
・配偶者の厚生年金加入期間が240ヶ月未満

【金額】
最高(1986年4月1日に59歳以上:現時点で95歳以上)で223,800円。以後順次若くなるほど減っていって、最低14,995円。金額は問題に出てきたら与えられるはず。

遺族年金の制度

寡婦年金(国民年金)

【趣旨】
妻が自分の年金を支払い終えて、給付を受けるまでのつなぎ(60歳から65歳になるまでの間支給)

【要件】
・保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて10年以上ある夫が死亡
・夫との婚姻関係が10年以上あり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻
・繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けていない

【金額】
・夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額

中高齢寡婦加算(厚生年金)

【趣旨】
〇遺族基礎年金の支給されない中高齢の妻(寡婦)を遺族厚生年金の方でカバーする
←遺族基礎年金は、年金法上の子がいない妻は支給されないため。
←男性(夫)は自力でどうにかなるが、女性(妻)は難しい側面があるため。

【要件】
・妻が寡婦(年金法上の子がいない)
・老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、被保険者期間が20年以上だった。
・妻が40歳以上65歳未満 
 ←65歳になると妻が老齢基礎年金を受給できるため
 →制度のハザマで生まれた人がいるためその救済措置がある⇒経過的寡婦加算

【金額】
・583,400円(=遺族基礎年金額777,800円×3/4)

経過的寡婦加算(厚生年金)

【趣旨】
65歳になって中高齢寡婦加算を受取れなくなってしまった妻の中には、制度のハザマで不利になっている人がいるので救済する。つまり、老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算の額に満たない場合が生ずるときに、65歳到達前後における年金額の低下を防止する。

【要件】
1956年4月1日以前生まれ(1986年4月1日において30歳以上)の人

【金額】
60歳までの国民年金に加入可能な期間をすべて加入した場合の老齢基礎年金の額に相当する額と合算して、ちょうど中高齢寡婦加算の額となるよう、生年月日に応じて設定。問題に出てきたら与えられるはず。

ちなみに所得税(住民税)上の制度(所得控除)

配偶者控除・配偶者特別控除

【概要】
配偶者控除…38万(33万) 配偶者の年齢70歳以上は48万(38万)
配偶者特別控除…最高額は配偶者控除と同じ。配偶者の合計所得金額133万円以下でなくなる。

なお、社会保険上、配偶者は事実婚を含みますが、税制上は含みません。

【要件】
所得者の合計所得金額1,000万円以下。(900万円から控除額が逓減)

寡婦控除ついでにひとり親控除

わりと最近の2020年に改正があったところです。
どちらも本人の合計所得金額が500万円以下です。
住民票に(妻)未届or(夫)未届 があれば不可です(外形上、事実婚であれば対象外)。
FP1級だと学科基礎編に出てくるかも。

【ひとり親控除】 35万(30万)
現に婚姻をしていないもので、かつ、生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)を有する者

【寡婦控除】
① 夫と離婚したもので、かつ、扶養親族を有する者
② 夫と死別した後婚姻をしていない者
→離婚して子がいればひとり親控除、親などを扶養していれば寡婦控除
→「寡婦」なので女性限定。男性は、生計を一にする子がいればひとり親控除。

本日は以上です。

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