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一時所得vs雑所得 ~ギャンブルも膏肓に入ると一時の利得ではない~

所得の分類シリーズ。一時所得vs雑所得です。

このふたつも案外迷うところです。

一時所得の定義

所得税法第34条
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。

・り はい ふ じ きゅう たい さん じょう の所得以外
・営利を目的とする継続的行為から生じた所得 以外
・労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を 有しない

というのが法律の規定です。

一時所得の計算

一時所得の金額
=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
です。

この一時所得の金額の1/2を給与所得などの他の所得の金額と合計します。その合計された金額を基に、納める税額を計算します(総合課税)。

特別控除額50万円があり、さらに1/2されるという点で、優遇されています。一時の偶発的な所得なので通常の税率を課すわけにはいかない、ということですね。

一時所得の例示

例として、国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)では次のように挙げています。

(1)懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2)競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
(3)生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4)法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
(5)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

これを詳しく見ると、

(1)東京フレンドパーク(by:TBS、若干古い)でいち視聴者がパジェロをゲットしたら一時所得。懸賞に当たったから。同様にクイズ99人の壁(byフジテレビ)で賞金100万円を得ても一時所得。
一方、芸能人がクイズ番組等に出て賞金を得たら、業務に関して受けるものであることから、一時所得ではなく、事業所得。

(2)競馬や競輪ほかギャンブルの払戻金は一時所得。その際の経費(的なもの)は、当たり馬券(車券)にかかるもののみ(100円とか)。

ただし、超絶ギャンブラーはこの限りではなく、雑所得になる余地もあります。ちょう例外ですが。そしたら、その際の経費は通算したもの。(年間の儲けー年間の購入馬券 が所得)⇒タイトルのはなし。

(3)ずっとかけていた保険が満期になったのでドーンと払い戻しを受けた場合、(受領金額ー払込金額)が一時所得。確定申告でも結構よく見ます。

(4)贈与といっても相手が法人だったら贈与税ではなく一時所得。群馬県(地方公共団体はれっきとした法人である)はワクチン接種推進策として抽選でスバル車があたるキャンペーンをしていましたが、当たった人は一時所得。

(5)竹やぶで見つけた1億円は一時所得。どうでもいいですが、竹やぶ1億円(正確には合わせて2億2千万円)って、元ネタは平成に入ったばかりの1989年4月で、それ以前、わたしの生まれる前の1980年にも1億円拾得事件ってあったのですね。

ほかにもある一時所得

上記にあげた以外に一時所得として名高いのは
・すまい給付金
・グリーン住宅ポイント
・ふるさと納税の返戻品
・Gotoトラベル・イートの優遇分

といったものがあります。通常は特別控除額の50万円があるためあまり気にせず、あえて所得税の申告書に記載したりもしませんが、なにかで大きな一時所得があった場合、気にする必要が出てきます。

どれだけマジメに確定申告しているか、という点はとりあえず措いときますが、ものすごくふるさと納税をしている人って、世の中いますよね。

株主優待は雑所得

とされています。株主優待は一定の株主の地位にあれば継続的に受けるから一時とは呼べない…からだと思います。

ふるさと納税の返礼品は一時所得とされていますが、これは、あくまで寄付をしたお礼の品であり、寄付というのはその時々の想いにより、つまり継続的に行うということを想定していない、んだと思います。ビミョーではありますが。

法人からの「謝礼」は通常雑所得

株主優待ではないですが、法人(会社)から謝礼を受け取ることがあります。アンケートに答えたとかですね。業務に関して受ける、その他の役務の提供の対価の性質を有するものなので、一時所得ではなく雑所得となります。

これで比較的大きな額になるものとして、家を建てて、ハウスメーカーが内覧会を開くということでその新築されたばかりの家を展示物として提供した際の謝礼金というものがあります。完成見学会の協力金です。場合によっては10万円くらいもらえるようです。

これも、その他の役務の提供の対価の性質を有するため、一時所得から除かれることとなり、雑所得となります。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

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