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雑所得の改正通達について

パブコメを経て雑所得の通達公表


一部で話題沸騰の、雑所得に係る所得税法の通達が公表されましたので、速報的に書いておきます。

正式には

令和4年10月7日付課個2-21ほか2課共同「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)

です。

この件については、改正案が出た段階で記事を書いています。

パブコメ案からの修正事項

国税庁が以下の表を示しています。

・本業-副業 の軸ではなくなった

・記帳・帳簿書類の保存の有無 が軸となった

と言えるかとは思います。とりあえず。

一方

事業所得か否かは社会通念による

というのは変わらずというところかと思います。これは、この通達が出される前から判例上確立された考えです。

帳簿書類があるならば事業所得である とは限らない

上記の表では帳簿の作成保存があれば「概ね、事業所得に区分される」と記載されているところで、これをもって今後、帳簿書類をつけさえすれば事業所得になる、といった言説が巷間に流布されるかと思いますが、そうとは限りません。

事業所得者であるならば帳簿書類を作成保存しなければならないとされています(所得税法232条)。

帳簿書類の作成保存が不要ならば事業所得者でない。(対偶)は真ですが
帳簿書類を作成保存しなければならないならば、事業所得者である。(逆)は真ではありません。

ついでにいうと、
事業所得者でないならば、帳簿書類の作成保存が不要である(裏)
も真ではありません。

事業所得者である以上、帳簿の作成保存はその要件を満たすものの一つに過ぎません。

通達そのものをよく読むと、帳簿書類の保存がない場合には雑所得、とは書いてあっても、帳簿書類の保存があれば事業所得、とは書いてありません。

せめて帳簿くらいはまともに付けて保存してくれという国税庁の意向(?)

ここにきて帳簿書類の作成保存を持ち出してきたのは、当局は帳簿書類に手を焼いているということなんでしょうか。

たしかに、世の中には考えているより多くの人が事業所得者で、帳簿を付けていることになっていますが、そのなかでほんとうにまともな帳簿(経理処理)になっているか、経験上、極めて怪しいです。

いくら、会計ソフトが「会計知識がなくてもキチンと確定申告と経理が出来ます。」と宣伝文句で謳おうと、どうしたってある程度の会計知識は必要です。

ということで、わからなければ税理士に相談しましょう!
…となると、完全にポジショントークになりますが、ちょっと見ただけで、これ違うよっていうのは見る人が見ればわかるものなので、相談してもいいとは思います。報酬云々、ってのもありますが。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。


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