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よんのばいすう6-12 2021.6.12

自由を踏みにじるな

6月12日は、アンネ・フランクの誕生日です。もしもご存命なら、今年92歳。「ヨンゴトナキオク29」でご紹介したオードリー・ヘップバーンと同い年だと聞くと、それほど昔のことではないのだとわかりますよね。1942年6月12日、13歳になった誕生日プレゼントにお父さんからもらったサイン帳に、アンヌは日記を書き始めました。それからわずか1か月足らずの7月6日、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を逃れ、一家はアムステルダムの隠れ家に移り住みます。アンネは日記帳をキティーと名づけ、キティーに手紙を送る設定で日記を書き続けました。そして、隠れ家生活も2年を過ぎた1944年8月4日、ゲシュタポによって見つかってしまいます。隠れ家の住人全員が強制収容所へ送られ、1945年の3月上旬、アンヌはわずか15歳の命を終えたのでした。8月4日は私の誕生日と同じです。あらためて、当時、日本と同盟国であったドイツで何とむごいことが行われていたのかと戦慄します。アンネが命をかけて書き続けた日記は、お父さんの手によって戦後出版され、今も全世界で読まれ続けているわけですが、そのすべては1942年6月12日から始まっていたのですね。


2021年6月12日、昨年台湾で起こった大規模な抗議行動を扇動した罪で実刑判決を受け、収監されていた民主化運動家の周庭氏が刑期を終え、出所しました。周氏は、昨年12月に禁固10カ月の刑を言い渡されていましたが、刑務所内での態度が模範的とされ、刑期が短縮されたんだそうです。収監前でさえ華奢だった周氏は、さらにやせてしまい、報道陣の質問にも答えないまま迎えの車でその場を立ち去りました。釈放されたといっても、無罪放免になったわけではなく、国安法違反容疑で今後も事情聴取される可能性があるとのことで、これからも弾圧、監視の緊張を強いられることは確実でしょう。中国による香港の民主化運動は壊滅的な状況。巨大な国となった中国に挑んだ周さんの今後がますます心配です。自分たちの既得権益を守ろうとする権力者が民主化の動きを封じ込め、立ち上がった国民、ジャーナリストを弾圧するという動きは中国のみならず、ロシアやミャンマー、ベラルーシでも顕著です。そして、一見民主主義を標榜している国でも、平気で国民の気持ちを踏みにじっている、都合の悪いことは平気で隠蔽し、絶対に説明をしない。その傾向がますます強くなっていることを肌で感じ取っています。

すべてが力によってねじ伏せられている現代。そんな中で、世界のたった7か国の首脳が今まさにイギリスに集まり、世界平和のためにワクチンやオリンピック、パンデミックの再来を防ぐ取り組みなどのことを話し合っているG7サミット(主要7か国首脳会議)。「新型コロナからのよりよい回復」がテーマなんだそうですが、円卓を囲んでいる首脳たちがマスクもしないで密になっていることが不思議でなりません。ワクチン接種がいち早く進み、元気を取り戻したといわれるイギリスですが、インド型変異株の広がりから感染者がまた拡大傾向にあるとか。最終的な首脳宣言も、結局は各国のエゴや思惑の産物に過ぎないでしょうし、本当の問題解決に果たしてなりうるのか疑問です。菅さんはメルケル首相と嬉しそうに会談していましたが、また東洋の魔女とか、1964年の東京オリンピックの思い出話を語ってご満悦なんでしょうか。この日が奇しくもアンネ・フランクの誕生日だなんて、おそらくきっと、彼の知識にはないでしょうね。

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