自分の中にあるものをゆっくりとそちらへ

編集ライター養成講座上級コース、コース名あらため即戦力コースのシーズン9が来年2018年からスタート。
そこで、修了生に「いまどういう活動しているか教えてー」とお願いして書いてもらいました。
今回はシーズン8のネッシーあやこさん。すでに独自のスタイルを持っていて簡単にはそれを曲げないタイプで、「やりたいことをどんどんやるといいよ」といったアドバイスにも、何かひっかかるようで、自分で考えて自分で納得するまでくらいついてくる。
簡単に「わかった」と言わないことは大切で、ひとから言われてそれをそのまま呑み込んでいるだけだと、なかなか身にならない。呑み込んでから、それをどう自分のものにするのか。理解するというのは、他者の言葉を呑み込んで、そちらにゆっくりと自分の中にあるものを向かわせる行為だから、時間がかかるもの。
教える側も、簡単に「わかった」って思わせる小技を並べ立てることに終始するのではなく、対話しながらゆっくりと導くほうがよいと考えます。受講生それぞれが自分で考えられるように、材料を並べて、それぞれが行動して、行動から考えて、それをアウトプットしていく。そうすることで、ゆっくりと理解していく。
そういうスタイルで講座を続けていきたいと思っています。

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シーズン8卒業生のネッシーあやこです。会社員ライターで副業ライターです。イラストもたまに描きます。

読み物サイト「デイリーポータルZ」に何度か投稿をしたのち、月1回くらい記事を書かせてもらうようになり今年で4年目です。また、会社員としてニュースサイトの記者ライター職を始めて、もうすぐ1ヶ月になるところです。

試してみたいことを実践して、その体感をアウトプットしたい。そんな思いからウェブ上で記事を書くようになりましたが、書き続けているうちに、もっと幅広く書く仕事に関わりたくなって今に至ります。

■いちばん最近書いた署名記事 
「群馬の『登利平』は『鳥めし(竹)』以外もうまい」
http://portal.nifty.com/kiji/180110201708_1.htm

専門分野を持つことが重要と言われるライター業ですが、わたしは特に明確な専門分野を持ってません。試したいことを随時試しています。

飲食物と長距離移動が好きなので、地方や海外での食べ歩き記事をよく書いています。しいていうと、体験記事(体感したことを文字におこすこと)は得意なほうかもしれません。あと、図やイラストを加えること。自分で自分の記事に挿絵をつけられることに、時々助けられています。

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講座は最初から最後まで、実践が多い場でした。授業は2週間に1度なのですが、その間にやる課題がもりもりあり、受講した半年間、毎日何かしら講座のことを考えていたように思います。課題の相談をするために、講座生同士で連絡を取り合うことも多かったです。

ライターや編集者として活躍している先輩たちにインタビューを行い、その内容を1冊の本にまとめる作業もありました。講座生の有志で制作グループをつくり、編集長を決めて作業をすすめるのですが、その中で内容全体の校正もしました。

校正ほぼ未経験で、「どういう基準でチェックすればいいの?」「そもそも『校正記号』ってなに?」という感じだったので、校正にまつわるおすすめの書籍を教えてもらったり、他の人のやり方を見て「なるほど!」となりながらでした。

編集ではなく校正なので、赤入れをしすぎないよう気をつけつつも、人の文章を俯瞰で見る機会をもって、どうしたらもっと内容が活きるのかを考えてみた時に、自分の文章の組み立て方についても、考え直すようになりました。

そもそも、紙媒体での経験がなかったので、ページ数や文字数に制限があること自体かなり新鮮な体感でした。制限があるからこそ、ひねらないといけない頭が生じるのは、苦しいながらも、新しいゲームを攻略するような気持ちでちょっと楽しくもあり。

わたしのように、活動の場がほぼウェブだったとしても、紙を体験して「何を残して、何を削ろうと考えたか」を記憶しておくことは、今後執筆をするうえで役に立っていくんじゃないかなぁと思っています。

(インタビュー本は紙の本だけでなく、無料の電子書籍としても展開していているので、もし興味ありましたらぜひ。 https://bccks.jp/store/167739)

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講座通ってよかったと思っていることは色々あるのですが、特によかったのは「文章を読んで違和感を感じた時、その原因をちゃんと考えるようになった」ことだと思っています。

読んでて、なんというか……、心がごろっとする文章表現に遭遇することが、たまにあるんです(なんだかネガティブな話になってしまいすみません)。たとえば「女子はスイーツが好き」。自分は甘い物が得意じゃないので、「うーんそうかなぁ……。」と首をひねって読むのをやめてしまうか、やめなくても、筆者に対する信用を失った状態で読み進めてしまったりするのです。

講座内で米光さんが「読者を決めつけるような文章は書いちゃダメ。該当していない読者の心が離れてしまうから」という話をした時「ああ、それだー!」と思うと同時に、違和感を感じたら、その原因を具体的に言語化できるところまで考えようと、意識するようになりました。

その方が、自分が把握しやすいし人とも共有しやすい。把握しておくと、自分の原稿の中で、どこそかで感じた違和感と同じものを産みだすことを防止できるのではないかもと思います。

講座の講義の中で「なぜその表現をしない方がいいのか」が語られるとき、米光さんが全身ふりしぼって言葉を選んでいる様子(とわたしは思った)だったことや、「一概には言えないのだけど」と、例外を認める台詞と共に語っていたのも印象的でした。ライターとして、言葉を探す責任について、今まで以上に考えるようになりました。

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さいごに、現在の活動についても少し。会社員として毎日数本の原稿を書いていて、原稿は上司の編集者がかなりしっかりチェックしてくれています。原稿は間違いが多いわ表現がぎこちないわで、早急にどうにかせねばという気持ちにかられているのですが、ダメな箇所や、ダメな理由をきちんと伝えてもらえることが、とてもありがたいです。

今後は、まずは業務の正確性とスピードをあげたい!と思いつつ、好きと感じているものをもっと深堀りして、その知識量を増やしていけたらと思っています。
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