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〇 クロスカントリー:地形とコース

皆様、お疲れ様です。
パラグライダーが趣味のよねけんです。
クロスカントリーフライトについて自分の考えを書いています。
今回は「地形とコース:飛ぶこととランディングは相反する」です。今回は無料記事です。

前回から読む 地形の確認:マップだけではわからない


題名がクロスカントリーから始まっている記事は自分と同じレベルのパラフライヤーを対象としており、マニアックでガチな内容です。
ご承知おきください。


 獅子吼高原から瀬女高原へのクロスカントリーフライトを題材にした記事です。(獅子吼以外の方、済みません。) 

無事に降りられるか それが問題だ

 獅子吼から瀬女高原方面にクロスカントリーフライトを始めると、基本、山の上を飛ぶことになります。最初の目的地である雲龍山エリアに飛んで行くと進行方向左は山々、右手には手取川が作った谷があります。谷には平地がありますが、川が通っていますし、住宅地と畑、田んぼがほとんどなので、降りてもよい場所は限られます(※1)。

高度にもよるが右側に意識が行きます

 3D図に示す通り、左手に行けばランディングする場所は見つかりません。(いや無理やり降りられるかもしれませんが) 右側は手取川が作った平地がありますから、無事に降りようと思ったら右側のエリアに位置を取っておく必要があります。間違っても左側の谷の中に入れば、気流が悪くて安全に降りられないかもしれません。いや、そこまでも行けずに木の上・・・ということも想像してしまいます。

真っすぐ飛ぼう・・・とは思っているけど

 奥獅子吼から雲龍山にグライドをする時に、このランディングするエリアが頭の片隅に残っている程度ならいいのですが、初回のフライトでは頭の中の80%以上占めている(笑)状態になっています。雲龍山に行きたいけど、安全に降りられるポジションも確保したいとなります。そうすると、右から回り込んで雲龍山に入るルートを選択してしまいます。前回の記事でもお見せしたルートが下記です。しっかり右に寄っていますね。

恐々と飛んでいるのが分かる軌跡ですね・・・

途中で右に寄りすぎたから左へ修正を本当はしているのですが、偏流が取れず、結果として、かなり目的地に到達する確率の悪いルートを飛んでしまっています。

飛ぶこととランディングは相反する

 あとから冷静にルートを考えると、まず、サーマルは山の尾根付近にあるので、出来るだけ尾根に乗っかることを考えないといけないはずです。これは、今回のフライトに関わらず、山飛びを攻略するためのセオリーだとも言えます。このルートでは手取川第三ダムのあたりから次の山に入っていますが、山の上とはいえ、高度が低い山です。この場所に良いサーマルはなかなかないでしょう。あるとすると、風の流れもあるので、尾根上からずれた位置、例えばもっと画面の右上になるはずです。そう考えると、もっと左側に修正して尾根上に入りサーマルを探すのが合理的です。しかし、この手取川第三ダムから入るルートで高度をロスしています。また、迂回ルートで長い距離を飛んでいるのでそこでの高度ロスもあります。2重の意味で高度ロスになっています。
 ランディングできる場所を意識してルートを取るのは戦略的にありなのですが、それだと目的地にフライトできる確率の高いエリアに行けなくなってしまいます。飛ぶことを優先するならばより左寄りで高い山の尾根を狙うが正解なのです。飛ぶこととランディングは相反することになります。そこでは「フライトすること」と「安全に降りること」の葛藤が発生しているわけです。では正解は?となると、二つのバランスにあると言えます。

降りられる場所は高度で刻々と変わる

 以前の記事(ソアリング1:高く更に高く)でも話したことがありますが、パラグライダーにとって高度は到達できる距離に関係します。つまり、どこに降りられるかは高度でおおよそ決まってしまいます。行った先の雲龍山で1,000mの高度があれば右側のエリアのかなりの範囲で降りることができます。鳥越ランディングにも多分届きます。でも、600m以下だったらどうでしょうか。手取川左岸(北側?)の農地や農道に降りるのがやっとでしょう。まず高圧電線が行く手を阻むので川を越えるための高さがなさそうです。そうなると、奥獅子吼から目的のエリアにグライドしている途中で高度を見て次のアクションを考える必要がありそうです。
 例えば、山の尾根上に到達するのは難しそうとグライドパスで判断すれば、右にコースを変更する必要があります。もっともこの場合はとんでもないシンクに捕まったか、飛び出し時の高度不足が原因かもしれません。
 また、ギリギリであれば、尾根上に取り付いて必死にソアリングを行い、難しそうであれば尾根向こうに行ってソアリングです。あらかじめ降りれそな場所を見ておきます。高度が下がったら山の麓に移動しつつランディングの場所に移動です。
 あるいは余裕で尾根上に出られそうであれば、尾根上に乗っかる前によさそうなサーマルが無いか探して、より有利に飛べることを考えます。この時、ランディングについてはそれほど考える必要はないです。

指定位置ランディングのスキルは必要

 こうやって高度に応じて、フライトとランディングについて考える比率を変えていくのが正解となります。この比率を誤ってフライトを優先(※2)するとこんな感じになります・・・。

さてどこに降りようか・・・もっと前に判断する場面があったでしょ!

この時、稲刈りが終わった小さい田んぼを使わせていただきました。無事ランディングしたのですが、周囲に家屋がある限られた場所に降りるにはそれなりのスキルが必要です。やっぱり、獅子吼のランディング中心の円にはかなりの確率で入らないといけないなと思った次第です。
 え? そんな狭いとこまで飛んだらダメだって? まぁそうなんですけどね(苦笑) 純粋に飛んでみたかったんです。いやほんとうに。

まだまだパラグライダーな日々は続きます。

【注記】
※1:降りてもよい場所は限られます
 
ちなみに、獅子吼エリアは4月始動なので、このコースを飛ぶには秋の稲刈り終了後を待たないといけません。

※2:この比率を誤ってフライトを優先
 
物事は万事バランスが大事と、大学の時にエンジン専門の教授に言われたことを思い出します。


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