上限10冊返却期限10日間

初めて絵本を読んだのはいつだろう。

どれほど考えても最初の記憶にはすでに身の回りに本、絵本がある。

気が付けば母は私を、私たち姉妹を当たり前のように毎週図書館へ連れて行ってくれた。

母は、私が上限10冊までの中で自ら選書するのを何時間も待ってくれた

母は、私のために数十分かけて車で私立図書館へいつも連れてきてくれた

母は、駆け込みで返却ポストに行くと言う私を夜中でも図書館へ送ってくれた

母は、何度も同じ本を借りる私を褒めも否定もしなかった

母は、10冊の本でビリビリに避けた貸し出し袋を新しいものに変えてくれた

母は、雨の日も晴れの日も雪の日も外にいても本を読む私を否定も褒めもしなかった

母は、私に本を読んでくれた

母は、本が特別好きなわけではなかった

母は、私が本を増やしたり減らしたりすることに否定をしなかった

母は、本の中で息をする私を見ていた

母は、今私ではない私の知らない子供達に本を読み聞かせている

母は、外に出ない事も家の中で本を読んでいる事も特別に取り上げなかった。

私の決めた日常を同じように扱ってくれた。

二十歳を過ぎても幼稚園の頃のシルバニアで姉妹で遊ぶ私達のことも気に留めなかった。

他人の大切なものを大切にするために特別な言葉や仕草を使うことなく、同じようにそれに接する事で尊重していることを表してくれた。

適切な距離を保って好きなものと接し続けられるのが、自分の気持ちだけではなく周りの環境のおかげであることに気がついたのは少し遅かった。

母を、旅行に連れて行った

行きたい場所や食べたいもの、見たいもの、全てを私もそう感じてるという振る舞いで連れ添った。

観光地の食べ物に重きを置いていないことが早々にバレた、私は母の好きなものにうまく寄り添えなかった。

このノートはここで終わりますが、これからも、私も母もあなたも続いていきます。

母と私たちの努力で、同じように。

本日はご静聴ありがとうございました。

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