見出し画像

令和4年 中小企業診断士2次試験 事例Ⅰ 再現答案&振り返り

中小企業診断士2次試験を受験してきました。図らずも2次試験は長い付き合いになっています。備忘録的なまとめです。

第1問
A社が株式会社化(法人化)する以前において、同社の強みと弱みを100字以内で分析せよ。

事例Ⅰで強み・弱みが問われるんですね。(令和4年度は事例ⅡやⅢでは逆にSWOT分析の問いがありませんでした。)事例Ⅰの強み・弱みで求められるのはどれくらいの抽象度なのかが分からず、解答の際に悩みました。事例Ⅱだったら こだわりの製法 とか、事例Ⅲだったら 熟練工の技術力 というまとめ方があると思いますが、果たして事例Ⅰでも似たようなまとめ方でいいのか、もしくは戦略とか組織とかの視点から書くべきか…。迷った結果で思いつく限りを詰め込みました。

<再現答案>
強みは①従業員の農業経験が豊富で連携もとれ幅広い品種を栽培②常務の人脈③消費者ニーズを反映した野菜作り④特産品として認知。弱みは①業務分担ができておらず②地域の農業関係者が排他的で従業員の定着が悪いこと。

<反省点>
・強みと弱みで記載していることのレベル感がそろっていない。強みが事例Ⅱっぽいなと書いていて思いました。弱みは組織っぽいまとめにしたら良いと思いましたが、50字程度でまとめるのは難しいと感じました。
・弱みの「排他的」という言い回しが企業経営理論っぽくないなと思ったけどいい言葉が浮かびませんでした。
・後から改めて本文を読むと、「常務の人脈」は活用はされていませんでした。

第2問
A社が新規就農者を獲得し定着させるために必要な施策について、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。

該当は6-7段落の内容になると思います。
経営者が職人気質とか、業務の役割分担ができていない、というのがマイナス面であります。ただ、それらのマイナス面を除いたとしても、繁閑の差や突発対応があるし、自由が利くものでもないし、で仕事自体はきついものである、という風に読み取りました。そうなるとまずは採用の入り口の部分で、仕事の大変さを理解し仕事に意義を感じる人 を採用するというのが大事かなと考えました。キーワードとしては、一体化・内発的動機付け あたりを意識していました。あとは、具体的な施策としてインターンシップを浮かべました。定着については、採用時点で定着しそうな人をピックアップするのに加え、業務分担を作るとか、農業関係者に溶け込む あたりがポイントと読みました。農業関係者と農業法人との関係性がいま一つイメージが湧かなかったので「溶け込む」=「凝集性を高める」と言えるのかどうか悩みました。「凝集性」は使わずにまとめています。

<再現答案>
①地元の農業大学校からインターンシップを受け入れ、仕事の内容理解を促しかつ就業者の要望も把握し、貢献意欲の高い学生を採用する。②業務分担整備に加え農業関係者との交流の機会を作り地元での一体感を醸成する。

<反省点>
・インターンシップのところでは、就業者のニーズを汲み取って制度に反映させることも入れたら良いかなと思って記載しましたが、改めて見ると散漫ですね。代わりに、経営理念とかビジョンとかの浸透を図る みたいなことを書いても良かったかなと思いました。
・「農業関係者」は「同じ地区に昔から住んでいる人」程度にとらえました。でもそんな緩い関係は組織論の対象外になるのかな、とも思ったりします。

第3問
A社は大手中食業者とどのような取引関係を築いていくべきか、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。

令和3年に引き続いての組織間関係の問題でした。令和3年の問いかけの方が漠然としてつかみどころがなかった印象です。第8段落の記載では大手中食業者との取引をしていることによるメリット・デメリット両方があるのでまとめ方が難しいと感じました。売上は安定していることから、良好な関係性は維持したいのと、取引を通じてA社の対応能力も増しており、組織学習という視点は入れるのかなと感じました。一方で大手中食業者への対応に忙殺されるという部分からは、これ以上関係を深めるということでもないと読みとれます。そうすると、依存せずバランスの良い関係性を築く、みたいなことになると思うのですが、解答としてまとめるのが難しいと感じました。

<再現答案> 忘れた部分が多く字数が少ないです。
①大手中食業者から消費者情報を入手して商品開発等に活用を行い、組織学習の契機とする。②有機栽培の強みを生かして取引先の拡大を行い、大手中食業者の売上依存度を低くして交渉力を高める。

<反省>
・解答としては軸が定まっていないように感じます。解答の視点が違うのかもと思います。大事なキーワードも逃していそうに思います。
・書こうとしていた内容を伝えるには、①と②の順序が逆の方がよかったかも知れません。

第4問
A社の今後の戦略展開にあたって、以下の設問に答えよ。
(設問1)
A社は今後の事業展開にあたり、どのような組織構造を構築すべきか。中小企業診断士として50字以内で助言せよ。

こちらも令和3年とも重なる空気を感じました。9-10段落から考えるところです。「兼任」というのと「新たな分野に挑戦したい」あたりでまとめようと考えました。「新たな分野に挑戦」では 両利きの経営 の 新規事業探索ユニット をまず想定しました。「兼任」については、兼任をいかに解消するか、ということになりますが、ここは悩みました。「兼任」から「専任」にするのであれば機能別組織が馴染みます。ただ、販売は直営店もあれば卸売りもしているので、むしろ事業部に近いのかな…、とか考えていたら両利きの経営の話はすっかり抜けてしまいました。

<再現答案>
生産・直営店・食品加工を部門として独立させて従業員は専任としそれぞれに事業部長を置いて権限を委譲する。

<反省点>
・設問2との切り分けを考えると、権限委譲はここで触れず、後半は新規事業探索の話をしたら良かったかも。
・書いているうちに事業部制→経営者育成みたいな流れになりました。

(設問2)
現経営者は、今後5年程度の期間で、後継者を中心とした組織体制にすることを検討している。その際、どのように権限委譲や人員配置を行っていくべきか、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。

権限委譲というと、現場に近いレイヤーの従業員に権限を与えていくイメージでいたので、経営者の権限委譲と問われてどんなことを答えるべきなのかがつかめなかったです。(設問1)は事業部制組織にしたので、それとの一貫性と、後継者が農業について門外漢 というあたりから権限委譲の内容をまとめました。人員配置のところは、若手従業員の記載が気になりました。後継者をサポートできるような事業部長を育てるみたいな話かな、でも若手従業員で事業部長ってちょっと無理あるのかな…、と思いながらまとめています。

<再現答案> こちらも大分忘れて80字程度しかないです。
後継者に生産・食品加工部門の責任者を順次担わせて適性を把握しながら教育を行い随時権限を委譲する。若手従業員からの登用を積極的に行い、事業部の責任者として育成をする。

<反省点>
・設問の意図をつかめているのかが分からないです。
・(設問1)との整合性をどうしてもとることになります。新規事業探索を(設問1)で記載していたら、若手従業員で社内ベンチャーみたいなことも書けて、踏み込んだ解答にできたと思いました。

総括
改めて本文を読み返してみると使っていない情報がいっぱいありました。それでも去年よりはできたかな…。組織間関係や将来を見据えた組織構造は2年連続で出題されましたが、つかみどころがなく難しいと感じました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?