令和4年度 中小企業診断士2次試験 解答速報まとめ 事例Ⅱ

復習を兼ねて各受験校の解答速報をまとめてみます。
比較をしているのはTAC・大原・TBCの解答速報です。

※各社の解答速報
資格の学校TAC:中小企業診断士2次試験 事例Ⅱ模範解答
資格の大原:中小企業診断士 2次試験解答速報(事例Ⅱ)
TBC受験研究会:2022(令和4)年度 2次試験解答速報(事例Ⅱ)

第1問(配点 30 点) B 社の現状について、 3 C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社) 分析の観点から 150 字以内で述べよ。

TAC
顧客:古くからの住民、現役世代家族。以前は観光客がいたが激減。
競合:全国チェーンのスーパー。
自社:高品質商品を宿泊・飲食に卸すが環境変化の影響大。直営店は巣ごもり需要の恩恵。

大原
顧客:①卸売事業で取引する地域の事業者、②小売業では古くからの住民、現役世代。
競合:ネット販売を行う食肉販売業者。
自社:卸売事業は売上減少したが、食肉小売事業は好調。

TBC
顧客:①周辺住民・集合住宅の家族、②大型小売業、③宿泊施設・飲食店、④土産物店・道の駅
競合:①大手食肉卸売業者、②全国チェーンのスーパー、③ネットの食肉販売業者
自社:①食肉仕入体制、②対面接客力、③製造体制・顧客ニーズ対応力、④卸売事業売上依存

B社は卸売と小売を行っています。どのようにまとめるのかで差がでています。最終消費者の観点では、地域住民と観光客(TAC)になりますが、誰に販売しているのかという観点では、地域の事業者と周辺の住民(大原)になります。一方、Customerを市場においてポテンシャルのある顧客と考えると、大型小売行(TBC)が含まれてきます。
競合についても同様でまとめ方で差があります。与件文で明記されていたのは、ネットで競合する食肉販売業者のみだったと思いますが、小売事業の競合としては大型スーパーがあげられることになります。大型スーパーを顧客ととらえるのであれば大手卸が競合になります。
自社は、TBCは内部環境分析でまとめていて、TACと大原は自社の状況を記載しています。

<感想>
今回の事例のように複数事業を行っているとまとめるのがとても難しくなります。記述するという面だけで言えば、卸と小売に絞って列挙していくのが分かりやすいですが、ネット販売は書きたくなるので、これが入るとまとめの難易度が上がります。また、3C分析自体の考え方が統一されていないようにも思うので、そこも対応を難しくさせていると思います。


第2問(配点 20 点)
B 社は、X 県から「地元事業者と協業し、第一次産業を再活性化させ、県の社会経 済活動の促進に力を貸してほしい」という依頼を受け、B 社の製造加工技術力を生か して新たな商品開発を行うことにした。商品コンセプトと販路を明確にして、100 字 以内で助言せよ。

TAC:県内の第1次産業と協業して土産物を開発し地域商標を付す。販路を限定してプレミアム感を演出。
大原:農商工連携による地産地消促進。販路は、①大型ショッピングセンターでの相手先ブランドで展開、②飲食店等でのメニュー提案・半加工。
TBC:県内の農畜産物で差別化された加工食品。販路は、既存販路に加えて県や連携先の協力で販路を拡大。

方向性はどこも変わらないですが、具体性に若干の差が出ています。「商品コンセプト」と問われた時にどんな解答をするのが正しいのかは判断がつきにくいところかと思います。TACは土産物と言い切っていて、作るものは分かりやすいです。大原は、コンセプトっぽいまとめにして、販路の方に具体的な商品を入れています。TBCの具体性については、2校の中間くらいのまとめに思います。

<感想>
おそらく、ある程度踏み込んで書いた方が良いのだろうと思います。TACの「地域商標」や「販路の限定」、大原の「相手先ブランドでの展開」、TBCの「県や連携先との協力」はアイデアとして面白いと思いました。


第3問(配点 20 点)
アフターコロナを見据えて、B 社は直営の食肉小売店の販売力強化を図りたいと考 えている。どのような施策をとればよいか、顧客ターゲットと品揃えの観点から 100 字以内で助言せよ。

TAC
現役世代家族で、料理の楽しさに目覚めた人
日常使いしやすい商品の品揃えを拡充して購買機会の維持向上

大原
施策は、料理の楽しさ、作りたての揚げ物の訴求
ターゲットは、工業団地の現役世代
品揃えは、食肉加工品や揚げ物等の充実

TBC
①料理の楽しさに目覚めた客向けに、半加工の食肉
②作りたての商品を求める客向けに、食肉を中心とした惣菜を品揃え

料理を作る人と、出来立ての揚げ物を求める人は異なってくると考えられるので、厳密にとらえるかで差が出ているのかと思います。記載されている内容としては大体同じで、変わった施策は出ていないです。

<感想>
工業団地の現役世代を顧客ターゲットで書かないのは勇気が要ります。もうちょっと踏み込んだ解答があるかと思いましたが、そうでもなかったです。点数の差がつかない問題になりそうです。

第4問(配点 30 点)
B 社社長は、新規事業として、最終消費者へのオンライン販売チャネル開拓に乗り出すつもりである。ただし、コロナ禍で試した大手ネットショッピングモールでの自社単独の食肉販売がうまくいかなかった経験から、オンライン販売事業者との協業によって行うことを考えている。
中小企業診断士に相談したところ、B 社社長は日本政策金融公庫『消費者動向調査』(令和 4 年 1 月)を示された。これによると、家庭での食に関する家事で最も簡便化したい工程は「献立の考案」(29.4 %)、「調理」(19.8 %)、「後片付け」(18.2 %)、「食材の購入」(10.7 %)、「容器等のごみの処分」(8.5 %)、「盛り付け・配膳」(3.3 %)、「特にない」(10.3 %)とのことであった。
B 社はどのようなオンライン販売事業者と協業すべきか、また、この際、協業が長期的に成功するために B 社はどのような提案を行うべきか、150 字以内で助言せよ。

TAC
・こだわりの食素材を扱うオンライン販売事業者と協業
・ミールキットの販売事業立ち上げを提案
・相手先ブランドを付し、協業先から消費者情報を入手して継続的に開発

大原
・近隣のスーパーと協業
・オンラインスーパー開設を提案して、惣菜メニューを提供する
・家事の簡便化ニーズに対応、長期的な成功を目指す

TBC
・食材にこだわる顧客に食材を配送する販売事業者と協業
・販売事業者から顧客ニーズを収集
・①季節の献立レシピ、②半加工商品、③盛り付け済みの商品、④オンライン限定のPB商品

「大手ネットショッピングモール」の出店で失敗したことの反省として、「こだわり」のある企業と提携しようというのがTACとTBCです。大原は地域のリソースを活用して事業を展開しようという提案です。オンライン販売事業者との協業が問われている設問に対して、大原の解答はずれているように思います。商品開発にあたっての情報収集は記載すべきポイントになりそうです。TBCは消費者動向調査の上位項目に対応する具体策を記載しているのに対し、TBCと大原は項目ごとに対応させての記載にはしていませんでした。

<感想>
設問としては、協業を長期的に成功させるための提案、ですが、消費者動向調査の内容を盛り込んでいくとどうしても短期的な施策になってきます。150字で上手くまとめるのが難しい問題だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?