詩│欠けた
Ⅰ
子どものように傷つけて
大人のように悔いる
子どものように抱きついて
大人のように離れる
子どものように夢を見て
大人のように正す
大人は可哀そうだと思った
Ⅱ
何か
大切なものが欠けている
それは
思う気持ちだとか
考える力だとか
そういう能力の話ではなく
月の裏っかわのような
瞳の裏っかわのような
赤色と緑色のような
みんなが当たり前に見ている
美しいと思う感情
感動するステップを
すっ飛ばしている
感覚だけがある
徒競走で走らないのに一等賞を取ってしまう
赤が分からないのにリンゴを描いている
悲しまないのに泣いている
ずるをしている
Ⅲ
光に背を向けたままの植物はきっと
滅びていくんだろう
それでいい
それがいい
むしろそうでなければならない
だけどまだ
大人のように二人になる夢を見ている
牛乳の甘さが懐かしい
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