詩│欠けた


子どものように傷つけて
大人のように悔いる

子どものように抱きついて
大人のように離れる

子どものように夢を見て
大人のように正す

大人は可哀そうだと思った


何か
大切なものが欠けている

それは
思う気持ちだとか
考える力だとか
そういう能力の話ではなく

月の裏っかわのような
瞳の裏っかわのような
赤色と緑色のような
みんなが当たり前に見ている
美しいと思う感情
感動するステップを
すっ飛ばしている
感覚だけがある

徒競走で走らないのに一等賞を取ってしまう
赤が分からないのにリンゴを描いている
悲しまないのに泣いている
ずるをしている


光に背を向けたままの植物はきっと
滅びていくんだろう
それでいい
それがいい
むしろそうでなければならない

だけどまだ
大人のように二人になる夢を見ている

牛乳の甘さが懐かしい



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