7.

心を殺すとはよく言ったもので。

嫌な気持ちになるたびに、何度も心を殺してきた。
これは、じっとしていれば過ぎ去る、とか、自分が飲み込めば
自分さえ我慢していれば周りは幸せになると思い込んでいた。

その当時の癖は、未だに抜けていない。

いったい何人殺してきたんだろうか。
人生の主人公の話が出たりするが、そんなのは自分だとわかりきっている。
ただ、主人公のために世界は動いてない。
もちろん自分を大事にすることはとても重要なことだとは思う。
でも主人公は1人で生きているわけじゃない。

悪く言えば他人である周囲の人たちが不快にならないために
行動することは自分を殺すことにつながるのだろうか。
時と場合によるとは思うが、全てが悪ではないと最近は思う。

そんなグレーゾーンを愛していきたい。

ただ、今まで殺してきた自分をどこかで丁寧に弔いたい。
嫌な気持ちだったな、でもこの場は笑って過ごしていたな。
えらいな、今ならあなたのために怒れるよ。
でも瞬発的には怒れないから、後からちゃんと怒ってあげるからね。
って、過去の自分に言い聞かせたい。
嫌だったよね、頑張ってたねって言ってあげたい。

何か墓標になるようなものがあれば、少しは紛れるだろうか。

しかしふと、殺してきたことを許して欲しいのだろうか。と気づく。

罪悪感を感じているのだろうか。
それすらもわからないまま、ただただ過去の自分への想いに
胸を詰まらせている。



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