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「エリザベスの話(3)」 はらまさかず

「じゃあ、おんぶするかわりに、なにか外のこと話して」
エリザベスはいいました。
「よし、まかせときな」

大福は、案外、まじめなのです。
それから毎日、大福は外のできごとを、エリザベスに話しにやって来ました。季節の花を持ってくることも忘れずに。
大福は外のことだけでなく、エリザベスに聞かれるまま、自分のことも話していました。捨て猫で野良猫であること。育ての親であるドブネズミのこと…。

毎日、少しずつ、エリザベスが弱っていくことに大福は気づいていました。
「あたし、病気なの」
エリザベスがいいました。
「うん」
大福はめずらしく、悲しそうにエリザベスを見つめました。

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