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「小さな星をさがして」 はらまさかず

 コロナになってからというもの、うまくいかないことや、こんなはずじゃなかったのにと思うことが増えた。…気がする。
 まあ、コロナのせいじゃないかもしれないけれど。
 少なくとも、このマスク生活。
 一体、いつまで続くのだろう。
 やる気が出ない。人とも会いたくない。といって、ずっと家の中では心がすさむ。それで、夜、喫茶ギンガに来るわけ。

「そういう時はね、いい方法があるよ」
マスターがにこにこして言う。
「なに?」
「小さな希望をさがすんだよ」
「なにそれ?」
「ほら、たまにあるじゃない。電車の中とかで、ちょっとした親切とかを目にすること」
ぼくは、アイスコーヒーに口をつけた。
「マスター、ストローやめたの?」
「やめたよ」

最近、急に涼しく、いや肌寒くなった。
だから、アイスコーヒーの氷も少なめだ。
「そんなの見つかるかね」
ぼくは、いった。
「見つかるさ。たくさん散らばってるんだから。ギンガの星のように」

 マスター、それが言いたかっただけでは?
 けど、
 まあ、探してみるか。

 帰り道、星を見ながら、ぼくは歩いた。

(喫茶ギンガ 第13話)

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