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「それは そのときの そのひと」 はらまさかず

 喫茶ギンガに来るのは、ねむれないから、だけじゃない。
 マスターと話をしたいから。

 「いらっしゃい」
 お店に入ると、銀河の模型。
 「あれっ、元気ないね?」
 マスターが言った。
 「そう?」
 「うん」
 マスターがぼくに、カウンターにかざってある小さな写真を見せた。
 「だれ、これ? かっこいい。、、、、、、もしかしてマスター?」
 「一分一秒、人間はかわっているんだな。このころは、髪の毛ふさふさだったのに。今じゃ、ぺったり。
 コーヒーでいいの?」
 「うん」
 「何があっても、それはその時のその人、もういないから、根に持たないよ」
 マスターはそう言って、豆をひきはじめた。
(喫茶ギンガ 第6話)

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