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くいしんぼうにガスターを【LINE】

思いがけず電車であたふたしてしまったので、妹にLINEを送る。



<以下、わたしと妹のLINEの転記>


「いま、ふと顔上げたらこのタイプの服着た子が前に立ってて『脱げてるよ!』ってひとりでめちゃめちゃ焦ってしまった。わたしの親切心を返してほしい」


「wwwwwww」

「紛らわしいファッション」

「だとしてもここまでダイナミックに脱げてることに気づかないことある?面白すぎる。笑」

「泥酔経験のある人間は、自分も含めて想定外の光景を見てきてるから目の前の不思議を一旦受け入れる性質があるんだよ。ぬいでいる、かもしれない」

「酔っ払いの視点は、先入観とかないからね。この世で最もイノセントかもしれない」

「大人なのにベビーカーで運ばれてる、かもしれない」

「なつかしい」

「無垢になりたい。ビール飲みたくなってきた」

「わたしはお腹痛いけどステーキ食べたい。朝からずっと葛藤してる。苦し紛れに頼んだハンバーグは半分しか食べられなかった」

「心と体がバラバラ案件」

「しかし食べたいのだ。●●亭のステーキが。エビフライもつけたいのだ」

「大はしゃぎのオーダー」

「叶わないからカマンベールチーズ丸ごと入れた、中本のカップ麺で妥協しようとしてる」

「カロリーなら何でもいいんですか」

「胃薬飲むか……そして中本にお湯を入れる」

「わたしは!モアーナー!!!(*)、って胃が叫びながら胃痙攣とか起こすかも」
(*)ディズニーシーで見たショー「ビリーヴ」の終盤シーン。

「胃袋の覚醒」

「ビリーヴよかったなぁ。『わたしはモアーナー!』から未知の旅に出るところで永遠に泣く。何回見たら耐性できるんだろうと思ってYouTube見続けてるけど、6回目はまだ嗚咽でた。ハッピーエンドメドレーに突入したらもう息できない。昨日は台所で鶏肉切りながら泣いた」

「人ってすごいな」

「何してても人間は感動できるんですよ」

「ねえ明日何してる?お互いに元気だったらお酒を飲みませんか。スパークリングとスモークサーモンも食べたい気分」

「めっちゃいい」

「大はしゃぎしながらシャケ食べたい」

「クマの宴会じゃん」

「勢いよく笑った」

「会場は川。シャケを狩りまくるところから宴会が始まる」

「都会のクマだからシャケは買っていく」

「あした西友行くからついでに買っとこうか」

「手土産を失うクマ。いいんですか」

「丸腰のクマ。いいですよ」

「丸腰でのこのこ食べにくるクマ」

「サーモンひとり何枚ですか?って一番最初に確認するクマ」

「多く食べそうなやつに睨みをきかせて牽制するクマ」

「それ何枚目?っていちいち聞いてくるクマ」

「鬱陶しいwww」

「2メートルくらいの図体したやつがペラペラのスモークサーモンに執着」

「撃たれる。日本が銃社会じゃなくてよかった」

「ごちゃごちゃうるさいと言う理由で撃たれる可能性」




最寄駅に着いたので、LINEを閉じて電車を降りる。次にスマホを見たら通知画面に「ガスター飲んだ」って表示されてて、信号待ちしながらひとりで吹き出してしまう3月の夕方。

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