すとりーとびゅー

引越したいなーとか考えてた流れでなぜか、町田のばあばのアパートの周りをGoogleマップでみていた。ストリートビューって便利だね。あれどんどん更新されるんだね、しまったもう少し前にみておけばよかった。話では聞いてたけど、ほんとにばあばのアパートはもうなくて、向かい側の、ばあばのお友だちの住んでた同じサンホワイトだけが残ってて。へんな感じ。なんかレゴブロックとか、砂場で作るお城とか、そんなのをみてる感じ。まわりは見慣れた景色なのに、ばあばのアパートのとこだけどーんと家が立ってる。一軒家が並んでる。あのらくだとカバみたいなおきものがある、小さな遊び場っぽいとこもない。ばあばがひと休みするのに座ってたかば、みたいなやつ。記憶がある時から既に塗装がはげはげで、あちこちかけてて、くっつくと冷たい、コンクリートで出来た不思議な触り心地のやつ。よく入って遊んだごみ置き場だったっぽいコンクリートのとこ。お風呂みたいなやつ。よく考えたら、よく考えなくても何かわからない、統一性もないし、どうしたかったのかもわからない微妙な空間。めっちゃ楽しかったわけでもないけどよく居た空間。花火した空間。ぜったい私あのらくだに顎ぶつけて負傷したりしたことある、なんか、感覚だけ蘇ってきた。ぜったいある。

私のなかで、ばあばはまだあのアパートで暮らしているので。少し一緒に暮らした記憶も、忙しそうに人生を卒業していった記憶も、勿論あるけど。それでもみえなくなっちゃったってなると、前のように少し離れたところで変わらず暮らしているように思えるもので。だからやっぱりばあばはあそこで暮らしてます。だから、あのへんなレゴみたいなところに行ったら私は迷子になっちゃうな。ばあばん家ないよ、間違えてるよなんか、って空とかに向かって言っちゃいそうだな。だから帰れないかもね。まあ実際に目で見るものなんて別にどうだっていいんだけどね。

街でばあばをよく見かける。あちこちでみかける。電車とか、道とか、お店とか。だから、心の中なのか小さい声でなのかわかんないけど、ばあばそのバッグ素敵ね、またそんなに重い荷物持ってるの?今日はどっかお出かけ?きをつけてね。って、声をかける。ひとりごと。それってすごく穏やかな時間で、あったかい時間で。それから、ばあばにしては小さすぎたり、ちょっと弱々しかったりする、でもなんだか似てる背中を見送る。またねってする。泣きたくなることもそんなにない。

今日もばあばは暮らしている、そんな中で私も生きていく。そう思う瞬間が時々あるのって結構いい。そんな時があったって、多分たまにはいい。

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