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【未熟小説】地方事務員実家暮らし、マジ真面子。出勤ドライビング編

am7:15 出発の儀
初めて自分で購入した中古車に乗り込み、まずは近くのインターまでを目指し出発をする。
オーディオに入れたままのCDから昨日エンジン音と共にストップした曲が途中小節から流れる。
今はもっぱら洋楽好き期間だが、言葉の意味は殆ど理解していない。
マジ子の選曲基準は完全にテンポとノリだけである。
途中スタートからの曲とともに実家駐車場から中古車をBackさせる事から私の出勤ドライブがスタートする。

すぐ近くの交差点で一回目の信号待ちをする。
大体この地点で、昨晩の帰宅できるぞテンションによるアゲ曲をまずそそくさと変える。
もう少し落ち着いて耳にお届けできるものに選曲し直し、安心して視線を信号に戻す。


am8:00 第一関門突破
女性ラジオパーソナリティーの番組挨拶がスタートする。この地点でインター付近に車が進んでいないとこの後少しスピードアップしないといけなくなる。
それにより、この先のドライブの方向性が決まると言っても過言では無い。心地よくパーソナリティーの声が聴けるか聴けないかが左右されるのである。


am8:20 朝ゴール
インターを横目にしそのまま下道の国道で車を走らせることさらに30分程で会社に到着する。
暗黙ルールの出社順番序列的にも丁度良い感じに出社可能となる。


一枚のアルバムひと回りと共にマジ子の出勤が完了となる。

マジ子はこの朝の一人ドライビングタイムがなかなか好きである。
アルバム一枚分程の時間の中で、外の景色を観ながらボーと車を走らせる。
最初は気づいていなかったが、どうやらマジ子の出社モード人間スイッチONまでの時間配分としては丁度合っているようだ。

今ちまたで流行り初めている、噂の朝瞑想タイム的な?
当然運転をしているので、安全第一で目はバッチリ開眼しているのだが、マジ子の場合は目を開けたままの瞑想とでも表現してみようか。
たまたま単調な道のりだから、高度な運転スキルを必要としない道のりだっただけだから、成せた技。とも言う。


友人に話すと、決まってまずはこう言われる。

「そんなに遠いと所までよく行けるね〜、勤務場所は絶対少しでも近い所以外考えられないよ〜。」

マジ子からしたら、社会人になってまず驚いた事の一つが有る。

それは自宅からかなり近い距離範囲内だけで会社選択をしている人が多いこと。
あくまで地方実家に住むマジ子一人の体感による一方的統計データではあるのだが。

マジ子の会社選択基準にも勿論通勤距離は入っている。
しかし、そんなにランキング的には高くない。
やりたい事、学びたい事、が一般的にも上位に来るようにマジ子ランキングでも上位ではあるが1位は

まず実家と違う土地(市)の未開拓地に行きたい。
必須事項:30分以上は通勤時間にかかること

がずば抜けていた。

特に地元が嫌いな訳でも、思い出したくない過去がある訳でも無い。
実家暮らしあるあるの学生時代からの友人も近くに沢山おり、むしろ地元は大好きである。
だが、なんとなく兄弟や家族の知り合いが全くいない土地に魅力を感じていた。
地方の田舎の為、辿っていけばすぐ繋がり発見の可能性大なのである。
兄弟の同級生、友人の奥さん、自分の元カレの友人‥‥。
これも実家暮らしあるあるだろう。

マジ子には潜在的になのか、住むテリトリーと働くテリトリーはどうしても区別したかったのだ。
これも今思えば仕事モードにする気分転換の一種なのかもしれない。いや、一種の変身願望の様な気もする。
今までとは違う場所で別人キャラになってみたい‥‥そんな密かな願望は少なからず誰でもあるのではないだろうか。
コスプレ気分に近いかもしれない。

何はともあれ成人そこそこ期のマジ子は新米新鮮パワーに溢れていた。
躊躇、深く考え込む、そんなキーワードは持ち合わせていない。
これが所謂若さの根拠無しエネルギー発電である。

保険的に受けていた近場の地元企業の内定を丁寧にお断りし、あえて実家から運転1時間程かかる未開拓地へと就職を決めたのである。

こうしてマジ子の出勤ドライビング時間が確保されたのであった。




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