『はじめまして、を繰り返す』
はじめまして、ときみが言った。
黒い髪に紅茶の赤みを帯びた黒い瞳。その瞳に、俺の髪と瞳はどんなふうに映っているのだろう。
はじめまして、と俺も言った。何度目の、何年ぶりのはじめましてだろうか。
きみは覚えていないから、何度でも繰り返す。はじめまして、俺の半身。 #140字小説
初めて会う気がしなかった。けれど間違いなく初対面だ。
だから僕ははじめましてと言った。
よく通る声で、はじめましてと返された。やっぱり初対面だ。
冬の夜空の月の色の髪と、透明度の高い湖のような瞳の美し