[日誌]5月31日『木星からの物体X』5 切削作業Ⅳ

 『木星からの物体X』の稽古自体は5回目ですが、前回私が所用で休んでしまいましたので切削作業は4回目です。
 セリフも順調に覚え、この第2場は比較的安定したパフォーマンスを発揮しているよう個人的には感じる。この日も全体を通して多少のダメ出しで細部を修正し、後半の部分を数回繰り返した。

 この日気になったことはこの「修正」である。「全体的に申し分ないけど、少し気になったのは…」と犬飼さんが俳優の方々に修正を促す。これはこの舞台に限らず演劇の稽古終盤ではありがちな様子だが、興味深かったのは「ある部分を修正すると、一見全く関係のない別の部分が変化する」ということだ。犬飼さんに促され、私はこれを「つぼ」のようだと表現した。演出がまるでマッサージ師のようにある部分を刺激すると、その指圧した部分から離れた別の部分に効果が出る。マッサージと異なるのは「つぼ」が師にも判然としないことだ。その効果をお互いに探りながら「指圧」しているようだ。

 演劇は生物(なまもの/せいぶつ)とよく言うが、一つの「生物感」はここにあるような気がする。一つ付け加えると、これは役者が人間(生物)だから、だけでは片付けられない問題のように感じる。この思考は一旦保留にする。

 マッサージ師として、犬飼さんは非常に優しい。「手数」が非常に多く、バラエティに富んだ「指圧」をして俳優の様子を見、よりその人に効果的な「つぼ」を探しているように私は感じた。ここに関しては後に記す論考に譲りたい。


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