ねこのとうふ4 やまや

わたしは白ねこ。名まえはとうふ。

ようかい まにあの らんぽ、しっぽが まんまるの だんご、だるめしあんがらの ぶっちと いっしょに りょくちこうえんの ほうこうへ いく。

ぶっちによると りょくちこうえんの てまえの 草かげに ふるいどあが おちているらしい。

そのどあを つかって みんなで あそぼうという わけ。

「ねえねえ まってよー」だんご。

ちょっと ふとりぎみで あしが おそい だんごが ふうふう いいながらいう。

「これだから たんそくは こまるよ」らんぽ

「たんそくって どういういみ?」ぶっち

「たんそく っていうのはね たんす みたいに おもい あしっていみさ」らんぽ。

「わたし たんすなんて ひょいって もちあげられるけどな!まいにち さんぽみちの ありのすを ほじくって とれーにんぐ してるもん!」ちからもちのぶっちが ちからこぶを みせながらいう。

ゆうびんきょくの 前を とおりすぎ くねくねみちを 左へ。

まっすぐいくと やきにくやさんの

とおりに "やまや" という みせがある。にんげんは ここで かいものをするらしい。

「あれは "やまや" ってよむのよ」

さいきん ひらがなを べんきょうしているわたしは ちょっと とくいげに みせのかんばんをさして いった。

「しってる。山が うってるんだよ。」と だんご。

「へー。だんぼーるや えこばっくに 入る山が あるんだね。ぼんさい みたいな かんじなのかな。」ぶっち

てくてく よんひきで こだかいおか まで きた。

「たしか ここらへんに...あった!」

だんごが ぼうぼうの くさのなかに かおをつっこみながら いう。

すごく ふるい どあ。とってが なくて かわりに きゃらめるを たてに いつつ ならべたくらいの ながさの くぼみが ある。ひきどだった みたい。

わたしたちは どあの 下に 大きい石を おいて しーそーあそびをしたり まわりが うみの つもりで いかだごっこを したりしていた。

「あーつかれた。ちょっとやすむわ」

「わたしも」「ぼくも」

らんぽと ぶっちと わたしは つかれて 草むらの かげに どさっと ねころんだ。いっぽう だんごは あきもせず どあで あそんでいる。

「わーい みてみて さーふぃんだよ。たたたたーしゅーん!」

だんごは せいっぱいに じょそうを つけて はしり どあの 上に とびのった。

だんごを のせた どあは くさの上を しゅーん!しゅんしゅん すべっていく。

「わーい。きもちいいなー。」

どんどん すべっていく だんごをのせた どあは こやまの がけのほうまで すべっていって とまった。

とまったのは いいけど どあのはんぶんは がけのむこう。ぷーるの とびこみだい みたいな じょうたいに なっちゃった。いたの あちらがわの はしっこには だんご。どあの したは くるまが びゅんびゅん はしる どうろ!

「わー!おちちゃうよー。だれか たすけてー!」

「ぶっちなんとか して! たんすでも もちあげられるんでしょ!」とわたしが さけぶ。

「さっきは ああ いったけど もちあげられるのは イケアの ぷらっちっくの けーすだけ なんだよう!きのいたは おもくて むりだよー」なきそうな ぶっち。

「なわとびが おちてた!これで どあを ひっぱろう!なわとびを ひっかける ぶぶんが どあに あれば いいけど」と らんぽ。

むこうで どあが みしっみしっ となりだした。

だんごの おもさで ぼろぼろだった どあが まっぷたつに われそうになっている。

どあを みつめる らんぽと ぶっちと わたし。もう だめか とおもったとき ふと あしもとの どあをみると とってのちかくに こうかいてある 。

これ なんだっけ!カタカタ にがてなのよね なんて よむんだっけ?クは わかるわ!

"しかく" + "なんかわらったかお" + ク

どこかで みたこと ある。どこかの おみせのまえで。どこだっけ。

「もう おちちゃう。こんな ことに なるんだったら もっと ちゃんと うんどう しとくんだった。

いままで なかよく してくれて ありがとう。みんな あいすべき ともだちだよ。うっうっ。」なきだす だんご。

"あいす"べき...?そうだ!あの あいすやさんの めにゅーで いちばん おいしいあじ!

"ロッ"キーロード!

だから しかくい のは"ロ" で わらいがおは ちっちゃい"つ" だわ!

ロック!

いそいで ロックのぶぶんを くぼみを うごかしたら かちゃっと いった。どあの あつみの ぶぶんから ひっかける かなぐが そとに でてきた!

「らんぽ!ここに なわとびを くくりつけて!」

「わかった!」

「ぶっちは ひもを ひっぱって!ぶっちなら できる!だって まいにち とれーにんぐしえるんだもん!」

「やってみる!」

「うんとこしょ!よっこらしょ!うんとこしょ! よっこらしょ!」

ぶっちは なわとびを ひっぱる。らんぽは ぶっちを ひっぱって わたしは らんぽをひっぱる。

ず ずず ずずず どあがうごくおと。

あと ちょっと!

ずずずずずーーー。どあが こちらがわに おおきく うごく。

たすかった!だんごが なきながら だきついてきた。

「みんな みんな ほんとうに ありがとう。ぼく これから ちゃんと うんどうして この おなかの たぷたぷ を きっと とってみせるよ。うっうっ。」

かえりみち せんさんに あった。きょうあったできごとを はなすわたしたち。

「なるほど。それは それは あぶなかったのう。

なわとび をさがしてくるとは おてがらじゃ らんぽ。

ぶっち いままで イケアの ぷらっちっくしか もちあげられなかったのに よく おもい きの どあを ひっぱれたのう。

とうふも にがてな カタカタを おもいだしたのは えらい。

だんごも たぷたぷ の おなかは いのちとりだと みずから きづいたな。」

みんな とくいがお 。

「しかし らんぽよ たんそくは みじかい あしといういみじゃ。たんすではない!

だんご やまやは びーるや くるみや しんらーめんが うっておるみせじゃ。

あと ぶっち ありのすを ほじくるのは なんの とれーにんぐにもならんぞ。

それと とうふよ あのあいすくりーむやさんで いちばん おいしいのは なっつとぅーゆーじゃ。それもわすれては いかん。」

「そうだったのですか。しらなかったです。」

とたんに しゅんとなるわたしたち。

「おちこむ ひつようは ない。きのうより しっていることが ふえる、できることが ふえることを しんかと いうのじゃ。

しんかは からだのことでも あるし ちしきやこころに ついてもつかう。」

「じじつ、きのう できなかった こと、しらなかったことが よんひきとも きょうできたり わかったりしたはずじゃ。」

「だいじなことは いまのじぶんが かんせいだと おもわないこと。しんかとは じぶんを よりよくする まいにちの こまかい こうどう なのだからね。」

しんか か。

あたらしいことばを えた わたしたちは きのうのよりかしこくなったきがした。あしたがくるのが たのしみになった。

おしまい


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