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食べたいパン 2023/11/16

地元に大きいパン工場がある。
焼き立てのパンの香りがする日もあれば、発酵中のなんともいえない小麦臭さが充満している日もある。
そこで祖父が盆暮の菓子作りの日雇いに行っていたり、パン工場のおかげで計画停電の対象外地域になった(日中に自宅にいることはなかった。冷蔵庫などの心配がなくてよかったとは思った)り、地域として割とお世話になっている。

ある日、焼き立てのパンが食べたくなってコメダ珈琲のモーニングに行った。
山食パントーストと小倉ペーストで注文し、たっぷりコーヒーと一緒にいただく。
…うん、おいしい。この日初めて小倉ペーストと頼んだのだが、あんバターは邪道だと思っていたのだけれど活路を見出した。どんどん食べていきたい。
外サクサク中フワフワでぶあつい山食パンはおいしくて贅沢の味がする。しかし、私が求めていた焼き立てのパンではなかった。コメダにも申し訳ない気持ちを抱えて、店舗を去った。

夜勤明けに行きたいところがあり、勤務先の近くでモーニングをやっている喫茶店を探した。コメダやマック、スタバのイメージで朝7時から開いている喫茶店あるだろうと高を括っていたら、それ以外に開いている店がほとんどなかった。朝8時から開いているところを見つけたので向かってみた。

地下にあり、シャンデリアと薄暗い鏡張りの扉に囲まれた喫茶店。モーニングはいくつか種類があり、サラダ付きトーストサンドセットにコーンスープをつけた。
ほどなくするとコーヒーが到着する。クチコミによると人によってカップとソーサーが違うということだったが、私はいつもいちごのカップとソーサーでくる。葉や枝も描かれていて、かわいらしいけど子供っぽくないデザインである。コーンスープはホッとする味。夏でも夜は冷え込むことがあり、夜勤明けでのめることに嬉しさを感じる。

「お待たせしました」トーストサンドが届いた。
たまごとハムのトーストサンド。4枚切りほどの厚さの食パンを焼き、切れ目を入れ、具材を挟む。至ってシンプルなトーストサンドだ。

なんでもなさそうなのがいいね〜と見つめてから口に運んだその刹那…!
これって私が求めていた焼き立てのパンではないか…!思わぬ出会いに顔がほころぶ。
空間やコーヒーとともにのんびり味わうべきだとわかっていたが、10分でサクサクとたいらげてしまった。

食べ終わったあと、サービスの2杯目のコーヒーをのみながら自分にとっての「焼き立てのパン」の定義を並べてみた。
・外がサクサク
・外側から次の断面までは薄いほうがいい
・いいパンのにおい

この「いいにおい」、もしかして地元のパン工場と同じにおいでないと認められないのではないか?
コメダ珈琲の山食パンでは確かににおいが違った。世間一般のいいにおいではあるのだけれど、パン工場のにおいとは違う。コメダはおそらく自社工場製パンなので違うのことにも頷ける。
この喫茶店で使っているパンがどこ製のパンかはわからない。少なくとも勤務地の近くで馴染んだ「焼き立てのパン」を楽しめることに安心を覚えて目的地に向かった。


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