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二度目の流産レポ(8週目稽留流産)

 また流産しちゃったので、記録もかねて体験レポを書く。

検診1回目

 前回の流産から数か月たって、身体も落ち着いて、緊急事態宣言も明けたころに妊活を再開した。そして1回も外さず、妊娠。どうやら妊娠(だけ)は、とてもしやすい体質らしい。1度目の検査薬は薄い線だったので、5日後くらいに濃い線が出てから受診を決めた。

 引っ越しのため、前回の妊娠でお世話になった先生とはお別れ…。持病もないし、紹介状を作ってもらうまではしなかった。
 今回は、分娩設備までついた産婦人科クリニックを選んだ。ちょっと古びてアットホームな診療所。手作りの季節の壁面が飾ってあっても違和感ない感じ。なんとなく懐かしい雰囲気だ。

 問診表を記入してしばらく待ち、最初の診察。女性の先生だった。診察が始まるなり、いきなり、
「妊娠の継続は希望してないの?」
と、冷たい声で言われた。

 え?ていうか、まずは妊娠してるかどうかを知りたいんだけど…?

 混乱して「え、子供はほしくて…もし、妊娠してたら産みたいですけど…」とかなんとか答えた気がする。どうやら先生は、問診票の”妊娠継続希望欄”のすぐ下にある”分娩施設希望欄”が「未定」になってたのを見間違えたらしい。先生はカルテに目を落としてつぶやいた。
「ああ、分娩がね。フン…。では超音波で見ていきますね」

 あ や ま ら へ ん の か い

 まあ傷ついたわけじゃないからいいけど…。第一印象は悪かった。
 そして内診室に移動した。実はピルを止めて随分経つせいで持ち前の生理不順がひどく、最終月経から数えれば7週目くらいになる時期だった。うまくすれば心拍が見えるかな…いきなり流産が発覚するかも…とドキドキしながらエコーを受けた。患者用のモニターがあるので、最初からわたしもエコー画像を見ることができた、が、どう見ても何もなさそう
「子宮内には胎嚢が見えませんね。子宮外妊娠の可能性もあるし、時期がまだ早い可能性もあります」
と言われ、尿検査に案内された。

 再び診察室に入ると、尿検査の結果を見せられた。市販の検査薬の中身だけ抜いたような紙ぺらに、2本線が入っている。
「陽性は出てますが、ちょっと線が薄いですね。まだ着床してないのかもしれません。特に出血や痛みがなかったら1~2週後にまた来てください」
と説明されて、診察終了。

 頭の整理が追い付かないまま会計に呼ばれると、9千円を超える金額が。自費なのは分かってたけど高いなぁ…とぼんやり思っていたら、受付の可愛いお姉さんが
「次回からは保険がききますから!」
と申し訳なさそうにフォローしてくれたのだけど、余計に混乱。前回の産婦人科では、妊娠中は自費で、流産が発覚した日から保険だったので…。
 え?失言?どういうこと?と思っている間に試供品を差し出され、
「これ、ハサンのサプリです!よかったらどうぞ!」
と、可愛くにっこりされた。

 はさん…?……?………? 

 半ば呆然としながら、軽くなったお財布と、ちょっとお高めの葉酸サプリの試供品を手にして病院を後にした。

 1回目の検診の後はとにかく不信感が強かった。だって先生「子宮外妊娠の可能性がある」って言ったじゃない。子宮外妊娠いうたら、死の危険すらある救急医療案件じゃない(ネット情報)。どうしてもっと丁寧にリスクアセスメントしてくれないの?どうして次から保険になるの?流産確定なのわたし? は さ ん っ て な に ?

検診2回目

 結論から言うと、病院は替えなかった。
 
真剣に別の産婦人科も検討したけれど、他の病院はどこも遠いし、引っ越しを繰り返したせいでただでさえ各地で股を晒しているのにこれ以上増やしたくなかった。それに、ちょっと言葉足らずなだけで腕の良い先生かもしれない。やっぱりダメでも、複数人の医師がいるクリニックだから同じ先生に当たらなければいい。
 “モヤモヤ”は、すぐ離れるものではなく、もっとよく見るべきものだ。

 2回目は1週後に受診した。自宅でもう一度検査薬をするとくっきり線が出るし、なんとなく、言われてみれば、お腹がチクチクしないこともないし、ネットで見た「卵管破裂して救急搬送」の事例が怖すぎて頭から離れなかったからだ。
「先生から1~2週後って言われたんですが、子宮外妊娠かもと思うと怖くって。もう受診してもいいですか?」
と正直に問い合わせたところ、受付の方の朗らかな声で
「いいですよ~!」
とお返事がもらえて、なんだかほっと力が抜けた。

 2度目の検診は院長先生だった。貫禄ある男性の先生だ。とりあえず
「ちょっとお腹がチクチクするような…」
と言ったら、先生がキュッと眉毛を上げて表情を変えたので、慌てて
「いや、生理痛とかに比べたらぜんぜん些細な痛みなんですけど!」
と弁明した。でも、大事にとってくれてる感じが好印象だった。
 緊張しながら内診台に上がり、エコーを見ると、普通に胎嚢があった。
「胎嚢、見えますねー。しっかり着床しています。妊娠していますよ」
と、わりあい優しい声で言ってくれた。
 診察室に戻って、次は2週後に来るように言われた。気が緩んで、
「前回は9週くらいでだめになっちゃったから…(ごにょごにょ)」
となんとなくボヤいたら、先生はヘニョッと眉毛を下げて困った表情になった。わたしもそれで何を質問したいというのでもなかったので、2週後の予約をして帰った。
 院長先生は口数は少ないけれど、しっかり話を聞いてくれて丁寧に診てくれる感じがした。やっぱりここに通おう、と決めた。

 そして検診2回目の会計は、本当に保険適用だった。クリニックによって料金体制が違うらしい。たぶん”異所性妊娠疑い”か何かで傷病名を付けてレセプトを上げているのだと思う。受付のお姉さんを疑って申し訳なかった。

検診3回目

 3回目の検診はまた女性医師だった。1回目と同じ先生なような気もするし、違う方かもしれない。印象が違いすぎたのでわからない…。

 最初にサラッと体調を聞かれて、内診へ。今回の妊娠は全然つわりを感じなかったので、つまり赤ちゃんの気配も感じられていなくて、このときの検診はすごく緊張していた。
 エコーが挿入されて最初は怖くて画面から目をそらしていた。先生から
「うん、成長していますねー」
と言われて始めてエコー画面を見ると、白い影が点滅しているのが見えた。
 心拍がある!
 
その後カメラをマイク?に切り替えて、ドッドッドッドッドッという音も聞かせてもらえた。心拍数は134bpmだった。
「胎嚢に赤ちゃんは…ひとりですね。子宮にほかに影も…なし。出血も…、ないですね。」
と、カメラを動かしながら状態をチェックしてもらえた。先生が何を確認しているのかわかりやすくて、嬉しい(ちょっとヘルメットを被ったネコを連想した)。そういえば赤ちゃんの生死しか考えてなくて、ひとりか双子かなんて思いもしなかったな。
 大きさから6週目後半くらいだろうと言われた。やっぱり初回は受精後着床前のぎりぎりのタイミングで受診してしまったみたい。最初の先生の見立ては正しかった。冷静になって思い返すと最初からそう言われていたんだよなあ。卵管破裂の恐怖に怯えすぎていた過去の自分をなだめてあげたい…。
 エコー写真は心音の波形つきのものがもらえた。病院ごとにこういうちょっとした設備が違うみたい。面白い。
 ちなみにこのときも保険適用の料金だった。今回は”流産疑い”とかかな。

流産の兆候

 前回の流産は”大きな動悸”が流産の合図だったのでは?という疑いを持っていたので自分の心臓には敏感になっていたけれど、今回はとくに不整脈はなかった。
 でも、つわりは本当になかった。妊娠アプリでは”そろそろつわりがピーク!ママも大変だと思うけど~…”なんてコラムばっかり出てくるのに、ピンピンしていた。でも下腹は少し固くなって、お腹の毛はすごく濃くなっていたので、一応身体は変化しているのを感じていた。
 不正出血はあった。出血と茶おりものの間くらい。ネットで調べても「初期はよくある」としか書かれていない。チクチクした痛みもたまにあったけど、それも「子宮が大きくなるから」と。
 というわけで今回は流産らしき兆候はなかった。千差万別すぎて計り知れない、妊娠…。

検診4回目 

 8週目後半相当。正直赤ちゃんの生死は半信半疑くらいで検診に行った。
「不正出血があります」
と先生(前回と同じ女性の先生)に告げると、
「ん?でも前回は元気でしたからね。まずは見てみましょうか」
と明るく言われて、先生のほうが楽観的だなあと思った。
 エコーをつけると、ひょうたん型の影が見えた。くっきり見えた。動いていない。ああ、死んでるな、とすぐにわかった
「うん…赤ちゃん大きくなって…17ミリくらいかな…」
と、画面上でスケールを動かす先生。
「でも動いてないですね」
とわたしから先に言った。
「そうですね…心臓の動きが見えません。ここが頭で、こっちが身体。心臓はこのあたりのはずだけど…」
カーソルを動かしながら口ごもる先生に、
「ええ。前回とちょうど同じ経過です。」
と告げた。精神的なケアは不要なので早く手続きを進めましょう…という気持ちが大きかった。

 診察室に戻って、
「2回も同じ流れで流産っていうと、不育症の可能性も高くなりますか?」
と聞いたら、先生もうなずいて、
「習慣性流産は3回の流産が定義ですが、2回続けてというと少し珍しいので、検査の基準に値します」
というような答えをくれた。流産は残念だったけれど、原因を調べられるなら一歩前進できる、と手応え感もあった。

 前回に比べて赤ちゃんが小さいせいか、自然流産か手術かどちらも可能と言われた。仕事の都合上「突然の激痛・大出血」は困るので、手術をお願いした。
 今回は、クリニック内で日帰りで手術できるとのことだった。仕事復帰も「麻酔がぬけた後は、生理中と同じように過ごせますよ」と言われたので、翌週に1日だけ仕事の休みを作って手術の予約をした。(前回は2泊3日の手術日程だったと話したらぎょっとされた…やっぱり異例なのかな…)

 

手術日

 前回の経験があるので、そんなすぐには自然流産にならないだろう、と手術日まで落ち着いて過ごした。少し茶おりものの量が増えて、不正出血と呼べそうなくらいになっていた。

 朝9時にクリニックに到着し、軽く体調を聞かれて内診へ。院長先生が診てくれた。確かに心拍が止まっていることをもう一度確認して、そのまま子宮口を広げるスポンジ?を入れた(相変わらず痛かった)。
 診察室に戻って院長先生から、手術の流れの最終確認を受けた。
「最終月経日からすると12週目だけど、大きさから見ると8週4日くらいなので8週ということで処r……処置しますね」

 処理でも処置でも印象変わんないからどっちでもいいよ先生!

 その後、”陣痛室”とプレートに書いてある小部屋に案内された。簡易ベッドと小さなテーブルがあった。個室で嬉しい。泊まり込みの手術で相部屋の個人ブースを使うよりも、日帰り手術で個室が使えてしかも安いならこっちのほうがいいなあ、と思った。
 手術着に着替えて30分くらいゴロゴロしながら待っていたら看護師さんが来て、麻酔をかかりやすくするという筋肉注射をしてくれた。なんだったか忘れたけど錠剤の薬も飲んだ。とくに薬の効き目は感じなかった。

 そのあといよいよ手術。11時くらいになっていたかな?うろ覚え。
 手術台に上る前に自分でパンツを脱いで、看護師さんの広げているビニール袋に入れたのが地味に恥ずかしかった。
 寝転んで足を広げ、血圧計やら点滴やらいろいろ取り付けてもらった。(血管に入りにくいタイプの人なので点滴5回くらい刺し直した…。未だに液漏れの内出血が消えない。)
 準備が終わった頃に院長先生が来られて、点滴チューブのあたりに立って
「痛み止めを入れていきますね」
と声をかけてくれた。今回は前みたいにミシミシした痛みを感じずに、すっと意識が消えた。

 気がついたときはまだ手術台の上にいた。ぼーっとしながら看護師さんに支えてもらって車椅子に移り、個室のベッドに帰った。
「意識がはっきりしたらナースコールを押してくださいね」
と言われて、それからまた少し眠った。

 そのあとまた目が覚めたのは12時半だった。これは夫にLINEをしたので正確な時刻。目は覚めてスマホもいじれたけど、頭はぼーっとして眠気が残っていたので、”意識がはっきり”なのか微妙でナースコールを押すか迷った。でも、こういうときは正直が一番だ。
「目は覚めたけど少しだるくて、意識がはっきりしたかは微妙です」
とナースコールで相談したら、
「軽食と薬をお持ちするので、食べられそうになったときにまた押してくださいね」
とわかりやすく教えてもらえた。優しい…。重たい身体に優しさが沁みる。
 もう少しゴロゴロしたら寝返りが楽に打てるようになってきて、お腹も空いてきたので軽食をお願いした。食事が来たのは13時。手作りおにぎりとお茶だった。美味しかった。
 薬は、子宮収縮剤と抗生剤、ロキソニンが出された。ロキソニンは抗炎症剤を兼ねているので毎回飲むように言われた。前回との違いは、胃薬がないことと、ロキソニンが頓服じゃないことくらい。
 その後は帰れそうになるまで休むことになった。時々身体を動かしながら様子をみて、15時くらいに帰宅した。お水とお茶を1杯ずつだけしか飲んでいなかったので、喉が乾いた。術後用にお水を持ち込んでもよかったかも?
 料金は軽食とかの自費分も込みで3万5千円を少し超えた。

 当日は少し怠かったけど、コンビニくらいは行ける程度に回復していた。前回の入院手術のときは、翌日の早朝まで点滴が入っていたのだけど…。流れも体調も違いすぎる。どういう違いなんだろう。週数かなあ。

術後の経過

 翌日から仕事に復帰。デスクワークなので特に支障はなかった。それから、不安になるくらい出血も痛みも少なかった。薬を飲んでいた5日間、生理4~5日目程度の量しか出なかった。
 薬を飲み終わった6日目、仕事中に席を立ったら例のドロっとした感覚。慌ててトイレに行ったら急に2日目くらいの出血があった。油断して軽い日用のナプキンだったからちょっと汚れた…(泣)
 診察日だった7日目も、多めな出血量だった。
「薬飲み終わってからのほうがたくさん出ます~」
と言ったら、先生は
「収縮剤でギュッとしてたのが解けて、出てきたのかも」
と言っていた…そうなのか?
 エコーで診てもらったら、残りの血も再手術するほどでなかったらしく、自然排出を待っていれば大丈夫と言ってもらえた。
 出血はまた減っていって、術後12日目くらいで急にレバー状の塊がゴロッと出て、そのあともう3日くらいで止まった。痛みは全然なかった。

 余談かもしれないけど、服薬後に一番しんどかったのは出血よりも頭痛だった。ロキソニン60mgを毎食後欠かさず飲んでいたから、離脱症状が出たんじゃないかと疑っている。貧血もあったかも? とにかく頭がガンガンするけど、これでまた鎮痛剤を飲んだら完全に依存症コースだ!と思って我慢した…。1週間くらい、うっとおしい頭痛が続いた。

これから

 不育症の検査についても、診察時に詳しく教えてもらった。染色体検査みたいな特殊な検査はここのクリニックではやっていないらしい。夫は最初から全部調べたいと言うので、また他院にかかることになりそう。大学病院で検査したい場合は紹介状も書いてくれるとのこと。第一印象から一転、すっかり気に入って信頼しているクリニックなのでちょっと心細いけど、また新しいところを探さないとなあ。検査の結果、服薬して様子を見ながら妊活するような感じになったら、今のクリニックに戻ろうと思う。

 どんな結果になるかは、期待と不安が半々。

 なんとなくだけど若い頃から、生理不順は酷いし、体型的な意味での発育も悪いし、女の割に毛深いし、”女性の機能”のどっかがおかしいんじゃないかな…って思っていた。ガールズトークで子どもにさせたい習い事とか育て方とか色々話をしてると、「でも、わたしって産める身体なのかなあ?」って不安がよぎったりもした。なので偶然というよりは、起きるべくして起きた流産だったっていうほうが、感覚的には納得する。

 それにしても、子どもは欲しいなあ。自分でもなぜだかわからないけど、本能的?に子どもが産みたいなあって感覚がある。そこは体質と一致しないのね…。どうしても産めなさそうだったら養子をとろうかな。子どもはいらないけど産める体質、って人がいて、そのせいで養育者を探している子どもがいるなら、わたしの出番かなって感じする。まあ、まだ気が早いけど。
 とりあえず検査だ!人生これから、がんばろ。