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全国通訳案内士試験(フランス語)「緊張しい」の二次対策 プレゼン編2

「説明の型」をつくった理由

前回お話した、さまざまなテーマのプレゼンに汎用できる「説明の型」をつくろうと思った理由は2つあります。ひとつは想定外のテーマについても何とか2分話すため。もうひとつは、聞き手が退屈しない話にするためです。

最初はダラダラ2分間話す訓練をしていました。しかしあるとき、はたと気づいたのです。「この話、聞き手にとって面白い?(いいえ、ちっとも)」
有償ガイドなわけですから、聞き手の関心度や期待を無視して話していいわけがありません。聞き手の予備知識の有無や興味を想像して話すこと、楽しませること。これらを心がけて話すこともホスピタリティの一環ではないかと思ったのです。

聞き手のプロフィールを「初めて日本に来るフランス人観光客」と仮定しました。そうすると、あるひとつの日本的事象について概要から詳細まで一気に2分で話すより、その背景や理由を話したり、フランス文化との共通点や、「いわゆるフランスの◯◯的存在」など聞き手がイメージしやすく伝えられると、聞き手に伝わるかも、と思いました。コンパクトに情報をまとめて聞き手が食いつく話し方を。これを目標にしました。

とはいえ、合否結果がでるまではこの対策で良かったのか心配でした。やはりガイドならではの歴史や地理の深い知識を披露したほうが良くないか。ホスピタリティを問われるのは、 プレゼン直後と最後の質疑応答ではないか。
結果的にこの対策でよかったのだと思っています。というのも、私の浅いプレゼン内容で評価できる点といえば、聞き手がイメージしやすいよう配慮した点くらいしかありません。プレゼン直後と最後の質疑応答での私の回答は、ホスピタリティ度満点の完璧は答えからはほど遠いものでした。
以下に私の回答を、恥を偲んでご紹介します。

私のプレゼン・質疑応答

プレゼンの選択肢は「七福神」「里山」「わらび餅」でした。
「里山」は最初に除外。「わらび餅」は、これを選択した場合に質疑応答で聞かれそうな内容を考えたら正解が分からなかったので除外。残るは「七福神」。しかし緊張しすぎて弁天様とえびす様の名前すら出てきません。
時間切れで"Je vais parler de 七福神"(七福神について話します)と話し始めた時、私の頭の中は真っ白でした。何とか「説明の型」に沿って(「4. 背景または理由」が抜けましたが)考えながら次のようなことを話しました。

「七福神とは7人の福を呼ぶ神様です。7人は一緒に船に乗ってこの世へやってきて、私たちに幸福をもたらしてくれます。一番人気は大黒様。ふくよかな顔にいつも笑顔。サンタクロースにように大きな袋を持っていて、中は私たちに振る舞うための宝物がいっぱい入っています。もう一方の手には木槌をもっていて、これを振って金貨を出します。この7人のアンサンブルが船に乗った置物は、幸運を呼ぶものとして、よくお店などに飾られています。」

プレゼン終了後の質問は、比較的簡単な質問でした。
「その七福神に興味があるので置物を家に飾りたいのたけれど、どこで買えるかしら?」
「7人船に乗ったタイプは、ふつうの家で見かけたことはありませんが、買えると思いますよ。浅草寺の仲見世通りに売っています。」
と答えたものの、そこで買えるのは7人台座の上に横並びのタイプだったように思います。ホスピタリティ度の低い、適当な回答でした。

仏訳後、最後の質疑応答では、
「孫がアニメのキャラクターグッズをお土産に欲しがっているのだけれど、明日の午後の便で帰国なので時間がない。どこかで買える?」
と尋ねられました。
まず、お孫さんの年齢を聞いたうえで、
「鬼滅の刃という、フランスでも映画が公開されたアニメがあります。兄と妹が鬼の仇を打つ話です。8歳の男の子なら知っているのではないでしょうか。今流行りですから、コンビニでも買えますよ」と私。
ここからです。
「もう一人女の子の孫もいるのだけど、そのアニメ知ってるかしら?」
という追加質問に対し、
「もしも知らなかったときのために、空港で女の子向けのかわいいアクセサリーも買って行ったらどうでしょう?」
という回答でお茶を濁しました。

トトロでしょ!キティちゃんなら鉄板でしょ!と後になって凹みました。ホスピタリティ度満点の回答はできませんでした。

これでも合格できた、ということはつまり、ホスピタリティが問われる設問は1箇所ではない、ということではないかと思います。そしてプレゼンで披露する知識の深さについては、もしかするとこれがボーダーラインかもしれません。(笑)

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