映画『花筐』
人生の一本に出会った。
それくらい凄まじい映画だった。
舞台は太平洋戦争前夜の日本。
戦争に翻弄される若者たちの、儚く、時に退廃的な青春を描く。
特に開戦を知りながら踊り続けるクライマックスは圧巻。
戦場のシーンは1秒も出てこないのに、どんな戦争映画よりも戦争の悲惨さが伝わってきた。
CGてんこ盛りの映像やあえての不自然な演技は苦手な人も居るかもしれないけど、
個人的にはフィルムに宿るパワーに圧倒されっぱなしの、他では味わえない映像体験だった。
ライブに近い感覚。
もはやその圧倒的なパワーの正体について技巧論で分析するのも野暮で、もう大林宣彦監督の魂の熱量そのものだと言ってしまいたい。
それくらい、戦前に生まれて79歳でこの遺作を完成させた監督の平和への願いと時代への警鐘には切実なものを感じた。
全体的に感覚に訴えかけるような映像なのに、最後には主人公自身が語り手となってしっかり言葉でこの映画を総括するあたりも、「確実にメッセージを伝えたい」という切実さゆえだと思う。
「何これ?」と「すごい!」に感想分かれると思うけど、僕は後者でした。
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