温熱痛(しみる)から歯根破折

40歳代、男性

 右上第1大臼歯の冷水痛を訴えて来院しました。
知覚過敏処置を行いましたが改善しませんでした。
 その後、冷水痛から温熱痛に病態が悪化しました。
噛み合わせの悪化や歯ぎしりが原因と考えられたため、
マウスピース(スプリント)を作り始めました。

 マウスピース製作途中に、右下第1大臼歯のインレー
(銀歯)が脱離しました。
右下は咬合痛も出現したため、抜髄治療を開始しました。
根管治療中に歯根破折が見つかりました。

 右下奥歯の歯根破折部を接着材料にて補強したところ、
右上奥歯の冷水痛ならびに温熱痛が消失しました。


 従来の教科書的な考えでは、冷水痛は歯髄炎の初期症状、
温熱痛は歯髄炎の中期〜末期症状です。
温熱痛がある場合には、基本的に抜髄治療するのが通法です。


 冷水痛は虫歯以外に、噛み合わせが悪かったり、クレンチング
(噛み締め)やグラインディング(歯ぎしり)に伴って出現する
ことがあります。


 温熱痛は、当該歯やその前後の歯、あるいは対合する歯に
歯冠破折や歯根破折が起こっていることがあります。
神経が無くて本来しみない歯でもしみることがあります。


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