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初期キリスト教信仰について①

 聖書には、おおきく「新約聖書」と「旧約聖書」という二つの部分に分けられますが、この「新約聖書・旧約聖書」という呼び方はキリスト教における呼び方であって、キリスト教が生まれ出る母体となったユダヤ教においては、こうした呼び方はしません。ところが日本語の「新約聖書」を読むとわかりますが、本文に「聖書」という言葉が用いられており(イエスはお答えになった。「あなたたちは聖書も神の力も知らないから、思い違いをしている。:マタイ22:29他)、この「聖書」は当然、現代の『聖書』とは異なります。なぜ、こうしたことが起こっているのか? もちろん、その説明は『聖書』にはありません。

 ここでは、わたくし永野による、初期のキリスト教がどのような過程を経て、今日のキリスト教の信仰につながったのかを考察するものとなっています。

 さて、キリスト教信仰の成立について、この事を調べる上での資料は『聖書』がある他、1~4世紀において成立した様々な「聖書外資料」が存在します( 参考:http://www.earlychristianwritings.com/ )。また、当時、文筆活動を行ったヨセフスや、キリスト教とは直接的に関係の無い歴史的な考古学的な資料が存在することが考えられます。ただし、これらの全ての資料に当たって精査するには、途方もない時間と労力が必要となるため、以下ではごく限られた(永野が入手できた[当然、偏りがあることをお含みください])資料に基づいて説明をします。

 先に参考文献について紹介しておきます。

~~~参考文献~~~

・『新約聖書正典ーその生成と意味ー』、H.Y.ギャンブル、宇都宮秀和訳、教文館

・『新約正典のプロセス』蛭沼寿雄著、山本書店

・『キリスト教文書資料集』編集ヘンリー・ベッテンソン、聖書図書刊行会

・『ユダヤ人から見た新約聖書』サミュエル・サンドメル著、平野和子・河合一充約、株式会社ミルトス

・『新約聖書の「本文」とは何か』E・ギューティング著、新教出版社

・『イエスから初期キリスト教へ 新約思想とその展開』、日本新約学会編

・『イエスとパウロ キリスト教の土台と建築家』G・タイセン著、日本新約学会編訳、教文館

・『イエス研究史集成』A.-J.レヴァイン、D.C.アリソンJr.J.D.クロッサン編、土岐健治・木村知良訳、教文館

・『イエスの時代』H.ブラウン、H.コンツェルマン他著、佐藤 研訳、教文館

・『イエス時代のユダヤ教』J.ニューズナー著、長窪専三訳、教文館

・『書物としての新約聖書』田川建三著、勁草書房

・『新約聖書 歴史・文学・宗教』G・タイセン著、大貫 隆訳、教文館

・『使徒教父文書』荒井 献編、講談社文芸文庫

・『新約聖書外典』荒井 献編、講談社文芸文庫

・『キリスト教思想の形成者たち パウロからカール・バルトまで』ハンス・キュンク著、片山 寛訳、新教出版社

・『マグダラのマリア、第一の使徒 権威を求める闘い』アン・グレアム・ブロック著、吉谷かおる訳、新教出版社

 ・『七十人訳聖書入門』土岐健治著、教文館

・『書き換えられた聖書』バート・D・アーマン著、松田和也訳、ちくま学芸文庫

・『初期ユダヤ教の実像』土岐健治著、新教出版社

・『ユダヤ教の福音書』ダニエル・ボヤーリン著、土岐健治訳、教文館



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