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ベイビー・シアターの図面を3Dで作成する

週末研究者の横田です。劇場建築を専門としており、たまに舞台設計などをしている、いち小屋管理です。

舞台スタッフを生業としていた時とは打って変わって、「小屋管理」と揶揄される「平凡な業務」にあたっている私は、業務とは関係なく自らの趣味において、舞台図面や劇場研究を休みの日に、せっせと行っております。

今年は、ベイビー・シアター(赤ちゃんのための演劇)のコーディネート依頼がいくつかありますので、ポチポチと製図を行っています。

●ベイビーシアターの図面を3Dで作ること

演劇業界では、3Dモデリング技術は、2Dのものと比べて、必須ではありませんし、必ずしも必要性があるかと言われれば、そういうわけでもないと思います。一方で、照明のモデリングソフトなどを使い始める方が出てきたりしますし、美術においては3Dでモデリングするのは、ある程度見慣れた風景になってきています。

ベイビーシアターについては、この数年、業務依頼がボチボチあるのですが、私がこの分野を面白いと思うのは「環境を作る」というところです。美術や小道具も、例えば舞台と客席が離れている場合には、表と裏があったりして、ハリボテでも大丈夫ですが、舞台と客席が離れていない環境型の美術の場合には、表も裏もなく、物体としての存在感や、人と物との距離感が重視される傾向があるように思います。

こうした「環境型」の演劇上演の場合、2Dの製図でももちろん問題はありませんが、私はどうにか3D製図を定着させたいと思っています。というのは、私がこれまでに見たベイビーシアターで「すごい!」と感じたのは、立体的に美術を構築して、アクターと観客のインタラクションを生み出してきた作品だからです(例えば、2019年にりっかりっか*フェスタで見た『キャンバス』は、傑作だった!)。

今は、3Dモデリングソフトも、廉価になってきているし(それでも高い!)、映像技術を取り入れることなくして、今後の舞台芸術業界も発展していかないでしょうから、こうして業界在野の私が、つらつらと、試行錯誤している次第です。

●とりあえず、作ってみた

※以下は、AutoDeskのサイトになります。また、図面は作業途中のものなので、随時変更されます。

https://a360.co/3ibzFOM

●何か変わったか

ただぶっちゃけ、美術を3Dモデリングしたからといって、作品が良くなるかとか、精度が上がるかとか、そういったことは分かりません。

当然のように、仕事の質は、それを担う人たちの経験と、予算によるし、どんな優れ、美しい図面を書いたところで、具現化に影響するとは思えません。

とはいえ、3Dモデリングから演劇作品を製作していく、というケースは、きっと今後増えていくでしょうし、それによって何か演劇というもののコンセプトが変わるかもしれません。

その日のために、備忘録としてつけておきました。