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金の国水の国/岩本ナオ


※少しネタバレあります。

自分の中の乙女チック 第2弾。

敵対しあうA国とB国。
その仲裁のため、A国で一番美しい娘とB国で一番賢い若者が結婚するよう、神様に命じられるが…というお話。

ありがちなストーリーかと思いきや、ただのおとぎ話にとどまらないところが好き。

ヒロインのサーラは、(この作品中では)自他共に認める「美人ではない」のに、「国一番の美人」という立場にさせられてしまう。
その事にコンプレックスを持っている。
しかし全く卑屈ではない。心が清らかで、おっとりはしているが必要なら戦う勇気を持つ、魅力的な女性。イヤな事はイヤとハッキリ思ったり、言葉に出したりする。

サーラとひょんな事から出会う、もうひとりの主人公ナランバヤル。
お約束のすれ違いがあったり、両国の政争に巻き込まれたりとハラハラドキドキさせられる。
でも最終的には「ふたりは幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし」で終わってくれる、ありがたさ。

1巻でまとめる手腕も好きなところ。
絵の書き込みも一切手を抜いていない。
後半、サーラと、敵から逃走中のナランバヤルが、一瞬邂逅する場面がある。
鳥が無数飛ぶなか、階上のサーラをナランバヤルが見上げる構図が、とても素敵だ。
命の危機のただ中で、サーラしか見えていないのだ!愛情が感じられてグッとくる。

誰かのために、自分のために一生懸命な姿は、心を打つよね。
主人公2人の出会いからラストまで、とてもドラマチックで痛快で、楽しく読めた。

余談。

映画は見ていないが、少し調べたらライララが女性だというのにビックリした。
まだまだ自分もカテゴライズせずにいられない価値観なのがわかった。
性別はなんでも良し。
それは「進撃の巨人」のハンジさんから学んだ。





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