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『FPV撮影時の立ち位置の重要性』

写真は先日のテレビロケでの壁裏でドローンを飛ばす図です。この壁の詳細がわかりづらいですが、木製の壁で、細長い板が横にいくつも連なっていて、間にほんの少しだけ隙間があります。

これが一枚板だとすると、状況は変わってきて、ドローンの操縦位置を大きく変える必要が出てきます。

よくある『ドローンはどのくらい飛ぶの?』というおじさんのあるあるな質問に僕が答えるとすると、

『見えるところはだいたい飛びます。』と話します。何キロとか数百メートルではなく、見えるところはだいたいオッケーなんです。

これなら見えている商店街入り口なら電波も届くけど、各店舗の奥まではむずかしい。屋根の上にいったら途端に電波も悪くなる。

屋根上を飛ばしたいなら商店街の中ではなく高い建物のベランダとかからやった方が良いし、商店街の店内なら店内の入り口付近でやるのがよい。とかね。

桜の撮影では日本全国まわりました。だいたい1スポット2時間滞在が限度です。つまり何度もチャレンジはできないわけ。

飛ばす際にはロケハンや周囲のチェックや安全確認して構図を決め露出調整などしていざ撮影!となるのですが操縦している自分が映り込まないようにするのはもちろん、電波の通り具合を気にして、フライトの最適化を行うことでフライト機会をロスしないですみます。

FPVの場合は5.8G帯を使うのでコントロールするプロポ側の2.4G帯に比べて飛距離も出にくく遮蔽物があると途端に電波の通りが悪くなります。だだっ広い場所やDJI製品の場合は屋外でゆっくりと飛ばすためアンテナの向き(とても重要)を考えて飛ばせば大した問題にならないのですが、FPVの場合、特に5インチの場合は飛行速度が速く飛行場所も広範囲に渡るので注意が必要です。直線距離でいくら映像受信ができる機材を使っても屋内においては部屋を跨いだり階が違えば電波の通りが非常に悪くなります。

FPVの場合に対応策としてできるのが以下三つです。

1指向性のあるアンテナ(パッチアンテナ等)を利用する
2外部受信機を三脚などを利用して受信環境を良くする
3操縦する立ち位置を工夫する

電波の送受信には必ずアンテナを使います。アンテナには種類があり、クローバー型の円偏波系、パッチ型の指向性の強いアンテナを組み合わせて使う時が多いです。よくfpvゴーグルに四角い薄型のアンテナがついているのがそれです。指向性の強いアンテナを使うことでアンテナむいている方向の受信感度を良くすることができます。よくパッチアンテナをつけているのに全然違う方向を向いて飛ばしている人がいますがとてももったいないですね。いつでも飛ばしたいもっとも距離を出したい方向にゴーグルのパッチアンテナが向くように意識しましょう。

外部受信機を使うケースもあります。アナログの5.8GだとCleaviewという製品が利用可能です。三脚に取り付けてCleaviewをAVケーブルでゴーグルと接続することで映像を取り込むことが可能です。通常の受信機よりも品質の高い映像処理と受信感度があります。三脚をつけることで高さを出すことができますし、頭につけているゴーグルの向きに関わらず受信することが可能です。ケーブルを延長することで操縦する位置と電波の受信位置を分けることができるのも大きなメリットです。

○Clearview Pro
https://bit.ly/3e57OLS

この2つは主に5.8G帯のFPV映像を受信する際の対策ですが、操縦する際に利用する2.4G帯の場合は中々セットアップを拡張するのは難しいです。送信側のアンテナを変えると技適の申請し直しなどもありますし中々対策が面倒です。

コントロール側の2.4G帯を920Mhzなどの低い周波数を送信できる機材に変えるのも一つです。私はCrossfireという機材を利用して撮影する場合があります。ラジオのように低い周波数は地を這うように電波が回り込み距離が伸びるのでコントロールの不安を解消できます。

そこで汎用的でどんなケースでも応用可能なのが立ち位置と向きの工夫です。
崖や高い山で絶景を飛ばしたいと思うことがありますが自分が高い位置にいるよりも低い位置からドローンを飛行するのがセオリーです。崖をダイブしたいのに崖の上から落下させたらすぐに崖に遮蔽されて電波が悪くなってしまいます。当たり前なのですがこれがわからない人がとても多い。

特に長距離を飛ばす場合は「ドローンをいつでも視認出来る場所」に立つのが良いです。ちょっとした木一本でも避けて立ち位置を決定します。屋内で飛行させる場合はなるべく飛行する中心位置で操縦するスペースを確保します。私はよく物置部屋やトイレの中に隠れて飛ばすことも多いです。

実際にあった例ですが、とても広大な場所を距離を出してとばす際に立ち位置を厳選した上でアシスタントに私の身体をドローンが飛ぶ位置に合わせて回転させてもらうことがありました。いつでも感度よく電波を送受信するためです。

機材拡張も重要ですが、まずは立ち位置やアンテナの向きをしっかり対策して、ロケハンする時には通常の撮影ではあまり気にしない「操縦位置」をしっかりリサーチすることが重要ですね。

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