混雑を放置する鉄道会社へ罰金を

都市部の鉄道の混雑がいっこうに改善されない。

最盛期に比べて、混雑率が緩和されたという数字は出せるだろう。長期的な人口減少とそれに伴う乗客減少の趨勢から、投資に積極的になれない事情もあるだろう。だが、乗客が混雑から受ける不利益にくらべると、鉄道会社の取り組みは真剣さを欠いていると言わざるを得ない。

理由は単純だ。混雑緩和施策は鉄道事業の経営にプラスにならない。鉄道事業の利益を運賃から経費を引くものと単純化して考える。いまや通勤電車の運賃が大きく上昇していく社会ではない。そうすると、とにかく経費を削減するのが良いという事になる。乗客あたりのスペースは小さければ小さいほどよい。それを突き詰めると、乗り切れないほどの満員電車で運行し続けるのが、鉄道事業の経営の正解という事になってしまう。

現場社員の方々は問題を感じているかも知れない。混雑時の対応には頭が下がる。ただ、それを経営に上申したところで、経営側は改善策に投資する積極的な理由が見出せないのであろう。

一方、満員電車の不快感は筆舌に尽くしがたい。感覚的な不快感だけではない。多くの乗客が通勤退勤の時間に大きなエネルギーを消耗している。必要のない体調不良を引き起こす。情緒面への悪影響も深刻である。いったい、みなが余裕のある電車で座れて通勤退勤できたら、どんなにか活力が蘇るであろうか。

ただし、これには解決策がある。混雑率に応じて鉄道に課徴金を課せば良い。例えば混雑率100%までは課徴金なし。それを超えたら課徴金を課す。課徴金の額は、鉄道会社が混雑緩和策に投資するのが合理的になる水準に設定する。混雑率の計測のために、標準仕様を満たした混雑計測機器の設置を義務付ける。

これは鉄道会社への当てつけではない。鉄道会社も好きで混雑を放置しているわけではない。対策をする理由がないだけだ。こうすれば鉄道会社も混雑対策をする合理的な理由ができる。


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