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映画『スパークス・ブラザーズ』

本作、控えめに言って、最高でした。

最近appleのipadのCMで、スパークスの"his Town Ain't Big Enough For Both Of Us"が流れてます。この曲は1974年のリリースですが、今聴いても全然古くないんですね。私がスパークス知ったのも、この曲からです。この曲からスパークス大好きになりました。スパークスは、ボーカルのラッセルと、キーボードとソング・ライティングのロンのメイル兄弟デュオ・バンドです。現在77才と74才の兄弟、今でもバリバリの現役です。

この映画、ロック・ミュージシャンのドキュメンタリーによくある、ドラッグ、セックス、仲間同士の軋轢や別離などは全く扱わず、二人の私生活にも一切触れず、バンドの神秘の部分はそのままで、ひたすらスパークスの25枚のアルバムを追い、スパークスの音楽関係者たちや、スパークスに影響を受けたミュージシャンたちがスパークスの音楽の面からその特異性を語り尽くすインタビューの集大成となっています。全編スパークスへの愛とリスペクトに満ちた濃密な135分でした。「変でいいだろ?」というスパークスの才能と異端ぶりが詰まってました。スパークスの50年の旅路と未来が見えたきがしました。そして、メイル兄弟のお互いへの敬愛、信頼感、二人の人柄の良さと謙虚さとチャーミングさがスクリーンから自然に滲みでてました。
この映画で、70年代以降、直接的・間接的問わず彼らの影響を免れてるミュージシャンは皆無に等しいこと知りました。
音楽的に英国のバンドとおもわれがちですが、メイル兄弟は米国人です。英国でもバンド活動してましたけどね。

1970年代にデビュー以来、スパークスは、数多の挫折とその都度の復活と浮き沈みの多かった半世紀を経ても驚異的にスパークスであり続けました。彼らは、流行に流されることなく、自分たちのビジョンに忠実に、商業的な成功より自分たちの創りたい音楽を優先させ、自分たちがこれだとおもったものだけを創造し、だからといって自分の殻に籠もらず、自分たちの納得のいくやり方で社会と関わり、常にユーモアを忘れず、クリエイティブな音楽活動に挑戦してきました。ということ、映画観てよくわかりました。今現在なお精力的に前進続けてるスパークスって、ほんとにすごい〜。スパークスはいつも今現在がキャリアのピークということなんでしょう。

スパークスの、全く方向性が異なる25枚のアルバム、345の楽曲。変幻自在で独創的実験的先進的で、固定観念を破壊した唯一無二の音楽性に、いまも聴く度ワクワクします。
楽曲の歌詞には、ナンセンスさに、意味解読の困難なものに、哲学的な示唆を含んだものに、キッチュなワードのリフレインに、人間の根源的な孤独感や関係の不条理に、ユーモアやアイロニーに、スパークス独特の意味合いが込められてます。(といっても私よくわかってるわけではないですが)

私は今までスパークスの来日ライブ2回行きました。初めてのライブのとき、ラッセルの外見のあまりの変貌ぶりにあっけにとられたものですが、でも演奏始まったらすぐ、ラッセルのファルセットにパフォーマンスに引きこまれました。スパークスのライブパフォーマンスはすべてがアートポップでした。
当時私の周りにスパークス知ってる人いなかったし、会場の盛りあがりが心配だったのですが、全然そんなことなくて幅広い年代層の観客で盛況でした。

スパークスは世界的なメジャーとは言えないかもしれませんが、日本ではスパークスは過小評価されてると常々おもっています。
スパークスを知らない人も本編ご覧になったらスパークスお好きになられるのでは。

現在上映中の監督レオス・カラックスの映画"アネット"は、スパークスが原案・音楽を務めてます。

今年のサマソニ出演決定してます。行きたいな・・・・

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